これも人生だよね〜映画「愛しのタチアナ」〜非モテなオッサン

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久々にアキ・カウリスマキ監督(フィンランド)の映画を再観した。
邦題「愛しのタチアナ」(1994年)。1960年代のフィンランドを舞台に、整備したばかりの車でドライブに出た冴えない中年男2人組が、途中でやはり冴えない出稼ぎ女性2人組と知り合い、港までの道中を共にするロードムービーだ。


全編を通じて特に何か事件がおこるわけではないが、画面を流れるフィンランドの美しい景観と懐かしのロックンロールに乗って展開される、非モテなオッサンたちのトキメキ体験(?)は、そのぎこちなさゆえに可笑しく、ある意味で可愛らしくもあり、同時にちょっと悲しく、最後にじんわりときて、
「ああ、これも人生だよね」
と、よく言えば達観的、悪く言えば虚無的な考えにとらわれて、オハナシ終了となる。
カウリスマキ監督の映画を見終わった後に決まって感じる、いつものあのパターン(それゆえ、好きな監督ではあるけれど、私は敢えて彼の映画は連続して観ないようにしている。他の映画も観ながら、時折り観る。このスタンスでいっている)。


それにしても、画中の中年男2人組のような、根は基本的に真面目なのにどうも女性とうまくコミュニケーションがとれず、それゆえ非モテに甘んじているオッサンは、映画の中だけでなく現実にも増えているのではないか。


通常なら、女性2人が車に乗って来るハプニングは、男性側からすれば
「ヒャッホー。いいカモが飛び込んでくれたぜ」
となり、よからぬことを企んだりするものだけれどね。
で、この2人とは逆に、いかにも女性が好きそうな薄っぺらいバカ話を連発して女性を笑わせ、安心させたところで
「それっ」
と、そのよからぬことを実行に移したりするのだ。


と言うことは、女性に対して極度なまでに不器用なこの2人は、実はとても誠実な男性ということになる。


はあ(ため息)、、、。
ひと昔前なら、こんなオッサンたちにも良縁が舞い込んでくるチャンスはたくさんあったんだよね、、、。


ともあれ、イイ映画。
予定がない冬の昼下がりにでも、じっくりと1人で鑑賞したい。