(注)10月13日に書いた記事。
毎年のように、8月も20日を過ぎた頃には栗ご飯のもとの宣伝販売を請け負い、その度にささやかながら季節の変動を感じていたものだった。
「陽射しはまだまだきついけれど、秋は日一日と近づいているんだなあ」
と。
9月に入り、日常的にも秋要素が浸透していくと、今度は南瓜ご飯や芋ご飯のデモが始まる。
この場合は、南瓜なりさつま芋なりの農産物と液体だしのコラボであることがほとんど。
「炊飯器に仕掛けた米に、切った野菜とこの液体だしを加えてスイッチオンするだけで、味付けしなくても美味しく作れますよ」。
こうPRしたいのだ。
栗ご飯、南瓜ご飯、芋ご飯。いずれも好評。甘味が苦手な人を除き、子どもからお年寄りまで幅広い層に受け、対象商品も高価格でなければ順調に売れる。
こんなにまで人気を呼ぶ炊き込みご飯の一連が、かつては、米不足であったがゆえに少ない米にかさ増し目的で野菜や雑穀やきのこや山菜などを加えて炊き込む「かて飯」だったなんて、想像出来る人がどれくらいいるだろう?
ちなみに、ドラマ「おしん」に登場した大根飯。私は土鍋で炊いてみたが、一口含むや、素朴な風味に強く惹かれた。
もっとも、これは普段さまざまな食べ物を楽しむことが可能で、かつ調味料も豊富な現在に生きているからこそ。
実際におしん時代に炊かれた大根飯は、大根と麦が多い目で、調味料を手に入れることもままならなかった当時の食料事情では、味付けもされなかったようだ。
はっきり言って「まずかった」だろうねえ。
同時に、洗うが如き赤貧の中においても生き抜いていくしかなかった庶民の知恵と底力も強く感じる。
その意味合いでも、おのおのの地域に伝わるかて飯をぜひ伝承していって欲しいと願う。