源氏物語に再挑戦している。まず現代語訳(瀬戸内寂聴)を読み、次に注釈付きの原文を読むやり方。ページをめくるうち、物語にゆかりがある地を巡ってもいいなと思い始めた。
例えば、主人公の光源氏の母、桐壺更衣の実家で源氏が前半生に住んだ二条院はこの辺りと推測される地なんか、我が家から歩いて行ける距離にあるのだ。
いいねえ。正直、あちらこちらをうろつく気持ちにはなれないんだが、と言って家に引っ込んでいると、ややもすればいろいろな感情にとらわれてしまって、ウツウツとしてくる時もあるからねえ。
それにしても、原文の「源氏物語」は主語が分かりにくく、難しいね。
ただ、いつの時代にも通じる、人生の普遍的な要素がたくさん詰まっていると感じる。
まず、あれだけイケメンで能力もあるモテ男(源氏のこと)にも必ず老いは来る点。
さらに、自分がやったことは、長い人生の中でいずれ自分に返ってくる点。
そして、源氏の二度目の正妻だと事実上される紫の上みたいに、才色兼備で夫にも愛されて幸福そのものに見える人でも、どこかしら恵まれない部分はある点。
現に、紫の上には子どもが出来ず(あの時代、これは決して小さくない意味を持つ)、夫である源氏が他の女性に産ませた子を育てることとなった。まあ、当時はよくあることだったのかも知れないけれど、女性側からみたら、そういうのは本当は辛いよね。
だとしたら、天は、人生をどんな人間にも割と平等に分け与えていることとなり、他人と比較して我が身の幸運を驕り高ぶったり反対に不運を嘆いたり、また物事の変化に一喜一憂しなくてもよいのかもしれない。
写真は紫式部(Public Domain).