一昨日の記事で、
「自営業の場合、その事業主が闘病生活に入ったら、家庭も仕事もどうなるのだろう?」
なる意味合いの一文を書いた。
今日はそのことについて私見を少し。
実は、我が実家も父は自営だった。請け負いで社寺建築の復元や修理を手がけていたのだ(父が担当した寺や寺院は全国各地にあり、国宝級のものもある)。
この父。私が小学校4年生の時に交通事故に遭い、リハビリ期間も含めて丸半年間、仕事が出来なかった。
勤め人なら、休業しても、法律で一定期間までは賃金が補償される。
もちろん雇用持続も。
自営業の場合は違う。何の補償もないし、下手をしたら、休んでいる間に同業者に仕事を奪われてしまう事態もありえる。
まったくもって、自営業は自由度が高いぶん、自己責任そのものの綱渡りの勤務形態なのだ。
幸い、実家は母が公務員(看護師)だった。おかげで、父が半年間無収入でも何とかやっていけたし、東京で浪人生活を送っていた姉に大学進学をあきらめさせることもなかった。
私が、当時は服飾系のスタジオを営んでいた夫と結婚し出産した後も仕事を続けてきたのは、この時の実家の体験から学んだことによる。
実際、夫の仕事が時の流れで次第に衰退していき、収入が激減して借金まで抱え込み、その返済に追われるようになっても
「音楽の先生になりたい」
と願う娘の夢をかなえてやることが出来たのは、私が会社員時代に貯めておいた教育資金があったからで、体力的にきつかろうが周囲に冷ややかな目で見られようが(当時、子どもを保育所などに預けてまで母親が仕事を続けることには批判的な意見が多かった)、本当に仕事を辞めないでよかったと、今でも強く思う。
何の因果があるのか。娘の夫も自営業。収入は安定していないし、いざとなれば自分で自分の始末をせねばならない。
もっとも、時間的にある程度の融通がきく自営業だからこそ、子どもたちの保育園幼稚園の送迎や急病の際の病院付き添いその他にも、可能な限り対応できる。
プラス、娘も実母と同じ公務員(小学校教員)。収入はともかく、安定性は高い。夫に予測せぬ事態があっても経済的にはどうにか切り抜けられるだろう。
こう見てくると、少なくともご主人が1人で、ないし親族や友人と組んで少人数で事業を営む自営業の場合、奥さんが専業主婦でいるというのは、経済面でリスクが高いことがわかる。
とは言え、子どもが小さかったり、ご主人が自分の仕事を奥さんに手伝って欲しかったり、介護や看病を必要とする身内がいたり、事情があって奥さんが働けない自営業者もあるだろう。
そんな場合は、不慮の出来事にしっかり対応した保険を吟味することと、日頃の生活費を抑えて貯蓄を多い目にしておくこと。これだろうね。
写真は、真ん中の孫と1番下の孫。