ボク、トマト、作ってんで!〜子どもに野菜を栽培させる意義

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トマトジュースネタを続けよう。

 

その年の夏に摘んだばかりのトマトを絞って作る、いわば「トマトジュースの新米版」である「新物トマトジュース」を担当し始めて十数年。
年毎に固定ファンが出来、今年もデモンストレーションをスタートさせるや
「今年も(販売の時期が)やってきたんだね。待っていたよ」
とおっしゃって下さた方々が多くいた。

 

まったくデモンストレーターとしては嬉しい限り。
そこに、今年はあくまで地域によるけれど、特筆すべき次のような状況が加わった。

 

それは、小さな子どもの試飲者が増えたこと。しかも、付き添いの親なり祖父母なりに
「〇〇ちゃんも飲んでみる?」
と聞かれて、おそるおそる、あるいはイヤイヤ試飲するのではなく、
「あ、トマトジュース! ボク(ワタシ)、飲みたい!」
と、自分の方から求めて試飲を実施している場所に寄って来るのだ。

 

自分で飲むことを望むくらいだから、いざ飲み始めても、以前によく見られたような、悪い意味でのビックリ感に満ちた表情はない。
自然にゴクゴクと、まあ、さすがに乳酸菌飲料や甘いフルーツジュースを口にした時のような笑顔はないにしろ、まんざら不快でもない様子。
まるで
「トマトジュースって、こうなんだよね」
と、子どもなりに最初からわかっているふうなのである。

 

淡々とトマトジュースを飲み干す子どもと子どもの保護者と、商売トークも交えて少し話すうち、
「なるほど。一般に子どもが苦手とされるトマトジュースも、こういうプロセスを踏んだら飲むよなあ」
と納得。
そこの地域にある保育園だか幼稚園だか(最近はどちらも一体になっている園が珍しくない)では、子どもたちに園内でミニトマトなどの野菜を栽培する園芸教育を実践していたのだ。

 

「自分たちで苗を植えて水をやって育てたとなれば、子どもたちも思い入れがあるんでしょう。昨年の保育便りには、収穫して給食のおばさんにサラダにしてもらった野菜、全部食べたと書いてありました。なので、今年は家(うち)でも作っているんですよ。ミニトマトなら、ベランダでも作れるし、一式そろった栽培キットが売られていますし」
と、1人のお母さん。
その子ども(5歳くらいの男の子)は、トマトジュースの試飲をお代わりし、私にキラキラした瞳で言った。
「ボク、トマト、作ってんで! まっかっかやで! すごく美味しいねんで!」

 

いいことだね。
振り返れば、子どもさん2人の野菜嫌いに悩んでいた我が友人も猫の額よりも狭い庭の片隅に鉢を置いてキュウリやゴーヤを子どもたちと育てていたなあ、、、「自分で大きくした野菜は愛着があるし、また、実るまでいろいろあるから、野菜を作る人たちの気持ちもわかるようになって、野菜を食べるようになった」と語っていたし。

 

野菜を材料とした商品や、野菜なしではメニューが成立しない商品(漬物のもと他)を製造しているメーカーも、イベントやキャンペーンの取り組みの1つとして、ぜひ「消費者個人での野菜栽培体験」を検討したらどうだろう?
結果、野菜好きが多くなればメーカーのその商品も売上アップになるし、まわりめぐってメーカーのイメージもよくなるし、消費者にすれば食に関心を持つから健康になるし、何より野菜も含めた生き物を大切にする気持ちが目覚めて社会全体の情操にもプラスにならないか。

 

なお、ミニトマトは、我が家でも毎年育てている。
ところが、今年の出来はなあ、、、。
粒が小さいし、鮮やかな赤にはならず葉もイマイチくすんだ色(写真)。
それでも、口に含むと、青くさい昔のトマトの風味がぎっしりなのは、家庭菜園ならでは!