
昨日のブログで、良いデモンストレーション=人が立っているデモンストレーションの事例をあげ、その課題点も書いた。
すなわち、商品を企画した人に始まる一連の消費活動にかかわるすべての人(製造した人、梱包した人、運ぶ人、売場に並べる人、売る人、買う人、商品PRをする人など)の顔が商品を通じて見えてくるデモンストレーションこそ良いデモンストレーションであり、デモンストレーターにとっても理想なのだけれど、実行となるとなかなか難しいのだと。
今日は、その難しい原因を、私なりに考えてみたい。
私たちデモンストレーターが派遣会社から打診されたデモ案件(発注元はメーカー)を請けると、ほどなく(多くはデモ日近くになって)、担当商品に関する資料と試食品のレシピを添えた指示書が送られてくる(ここ数年は郵送ではなくネット経由が増えた)。
それにしっかり目を通すことで、デモンストレーターは商品特徴やらセールスポイントやらを知り、デモ作戦を立てるのだけれど、時に、肝心の資料がスカスカと言うか、まことに頼りないことがある。
また、デモ当日に指示された現場に行ってみれば、およそデモを実施するなどとんでもない場所(狭い、類似した商品が密集し過ぎている、販売商品を積んである場所から大きく離れている、ほとんど人が通らないとかちょうどレジを抜けた場所にある、など)に連れて行かれて
「ここで(デモを)やって下さい」
と、要請されることもある。
これらのケースは、消費活動の中でも特にメーカーか店舗か、どちらかのデモンストレーションに関する知識の欠如や意識の低さ、あるいは両者の視点のすれ違いによってあらわれ出たものだ。
つまり、メーカーと店舗との間でじゅうぶんにコミュニケーションがとれていない。
この歪みは、当然ながら、メーカーにデモンストレーションを依頼された派遣会社と実際にデモンストレーションを担う私たちデモンストレーターに悪影響を及ぼす。
いきおい、本来なら消費者の意見なり感想なり希望なりを知ることも目的であるはずのデモンストレーションの意義はなおざりにされ、1番わかりやすい売上数字のみが重視される結果となってしまい、これまた違ったタイプの悪影響を及ぼすのだ。
写真はホットケーキのデモ風景。