
皆さんにお尋ねしたい。
「スーパーなどにパンフレットやリーフレットの形で置いてある、メーカー作成の料理集。あの中に掲載されているメニューを実際に作ったこと、ありますか? あるとしたら、どれくらいの頻度で?」
と言うのは、時おり、
「味は良いし、栄養的にも問題ないのだけれど、少なくとも家庭料理には不向き」
と感じられるメニューがあるからだ。
つまり、手間も時間も費用もかかるタイプのもの。
もう15年以上も前の話だから打ち明けてもかまわないだろう。
ある時、某オイルメーカーのごま油を試食販売することになった。
試食メニューは中華風そうめん。
豚肉と茄子その他の夏野菜数種をごま油でいためて中華だしと醤油で味付けして冷やす。それをそうめんの上に具材として載せ、普通にめんつゆで食べてもらう。
ぶっちゃけ。味はなかなか。ただ、多くの材料を使い、また出来上がった具材をキュッと冷やさないと美味しくないこともあり、食べられる状態になるまでかなりの時間と労力を費やす。
まして、試食が売上に結びつくデモンストレーションメニューには、ぜんぜんふさわしくない。
その前にですね、豚肉だの茄子だの、かくもあれやこれやの味が混ぜ合わったら、かすんでしまうんですよ、せっかくのメーカーご自慢のごま油の風味が。
デモの様子を見るため、店舗にやってきたメーカー営業に、私は尋ねた。
「こんなゴッチャラゴッチャラしたややこしいの作らんかて、そうめんなら普通のやつをごま油を一滴垂らしたつゆにつけて食べてもろうた方が、よほど(ごま油の)美味しさがわかるんとちゃいますの?」
営業は答えた。
「はあ。僕もそう思いますが、これは企画部と販売促進部と顧問の栄養士が共同で決めたことですので、、、。うちが店頭に置いている料理パンフレットにもレシピが紹介されていますし」。
「そうなんですか。じゃ、仕方がないですね。もっとも、この中華風そうめん。果たして一般の主婦が作ってみたいと思うかなあ?」
ズレているんだよね。どこかズレている。
同時に、消費者が作ってみたいメニューを提案できない栄養士なんて、顧問料を払ってまで雇う価値があるのかしら?
写真は、1番下の孫。