液みそのCMから感じること

 前の続きの続き。

 M味噌の新商品「液みそ」のCM。
 皆さん、観たことある?

 懐かしの映画をのぞき、テレビは滅多に観ない私。
 「液みそ」のCMも、M味噌のホームページの動画で、はじめて観た。

 まず、キャラクターに若手男優を起用した点に驚いた。
 味噌のCMに出演するタレントと言えば、森光子をはじめとする、中年以降の
女優がほとんどだったし、商品イメージからしても、それがふさわしいと、消費
者にも思われていた。
 それが、「液みそ」では、今年30歳になる上地雄輔が出演。液みそを使い、
実際に味噌汁を作ってみせる。

 映像も動きがある。
 激しすぎない、ほどよく抑制が効いたビートに乗って、画面上を、液みそが跳
ねるように弧をえがいて踊り、「すぐとけ。すぐうま」のコピー。シメは、出来
あがったばかりの味噌汁を飲んでほっとくつろぐ癒しの表情。
 「家庭くささ」が前面に押し出されていた従来の味噌CMと、ずいぶん違う。

 このCMにより、液みそを使えば
「忙しい日々を送っているく独り者の男性にも美味しい味噌汁が簡単に作れる」
 という認識が視聴者の記憶に刷り込まれる。
 だからこそ、実際の販売現場では、主に中高年の主婦たちが買っていく。
「若い男の人にも作れるんやもん。ダシからとって毎朝ちゃんと味噌汁を作って
きた私なら、尚のこと」
 と。

 なるほど。
 メーカーも考えているよ。
 CMの効果は大きい。
 消費者の目の前に、繰り返し、繰り返し、同じ映像が流れるのだから。

 何より、このCMが画期的なのは、これまでの男性の一般的願望であった
「美味しい味噌汁が飲みたい。作ってくれる人(女性)、いないかなー」
 ではなく、
「美味しい味噌汁が飲みたい。自分で作ろう!」
 という視点から制作されていること。

 時代は変わりつつある。
 一つの食品CMからも、つくづく感じる。