マスク、マスク、マスク

 やっぱりと言った感じだった。

 昨日は、京都は物集女にある某ホームセンターにて、ペットフードの推奨
販売。
 入店手続きをすませるや、朝礼に向かう店員さんたちの群れとかちあった。

 皆さん、マスクをしておられる。それも、下まぶた近くまで覆われる、深
マスク(こういう名称のマスクがあるのかどうか知らないが)。
 一見、マスクというより覆面をしておられるような印象を受けた。

 推奨販売員として訪れた私も、もちろんマスク。
 お客様にもマスク姿が多い。

 マスクをすると、口元は見えないから、表情がよくわからない。
 声も、素で話す時より、聞き取りにくくなる。
 買う側。売る側。お互いに不利なのだ。

 バックヤードで店員さんたちが嘆いていた。


「日本だけらしいよ、ものものしくマスクしているの」
「そもそもマスクにどんだけ効果あんのかね? マスクと肌の隙間から、いく
らでもウイルスは入ってくるってよ」
「やけど、本部からの通達やしなあ」


 皆、インフルエンザが恐いと感じるのと同じくらい、
「こんなパニック。どこかおかしい」
 と感じているのだ。

 その疑問を表に出来ないのは、悪者になりたくないから。
 事実、流れてきた情報によると、神戸でも大阪でも東京でも、初めての感染
者が通っていた高校には、
「責任をとれ」
 云々の中傷誹謗電話が殺到したと言うし、感染者本人へのいやがらせも後を
断たないらしい。
 試飲会を実施当日になってキャンセルした製薬会社の営業マンは、私に語っ
た。
「もし、われわれが関連する中から感染者を出したら、社会的な責任を問われ
る」。

 やりにくい一日だった。
 売上は、今ひとつ。

 商品の良さは認めても、気分的に買う気にならないだろうなあ、今は。