バッティング第二弾

 さて、バッティング第二弾といこう。

 同じ日、同じ現場で、同じ業種の商品をデモンストレーションしあう(例える
なら、K社の洗濯洗剤「アタ○ク」とL社の同「ト○プ」の推奨販売を競うよう
なもの)はめになり、しかも相手方がライバル意識を剥き出しにするようなタイ
プだったり、ウマの合わないキャラだったら……どうするか?

 これは、ある面で開き直り、考え方を変えるに限る。
 すなわち、
「この人がいて仕事がやりにくいなあ」
 の一点張りではなく、
「こういう状況なら、仮に売上がよくなくても、ある程度は許されるはず。い
ざとなれば、言い訳できるぞ」
 ともとらえるのだ。
 ぶちまければ、逃げ道を作ってしまうわけね。

 ずるいけれど、精神的には楽ちん。
 売上責任を堂々と転嫁できるのだから。
 こうなると、恐いものはない。
 かえってリラックス出来、その自然体がお客様の共感を呼んで、一人でデモ
する時より売上がよかったりする。

 ただ、こうなるには、少し根回しと心構えが必要。
 
 まず、ライバル会社のマネキンには、極力こちらが下手に出る「フリ」(あく
までフリ。本当に下手に出てはいけない)をする。
 具体的には、挨拶はこちらからする、口はタダと割り切って相手をおだてま
くる、相手のメーカーをほめたたえる、ゴミ捨て場や休憩所を教えてあげるな
どちょっとした親切を早めにしておく、その他。
 これらの行為は、店の人たちの印象をアップする上でも有効である。
 つまり、向こうのマネキンが意地悪な人でこちらに冷たい仕打ちをした時に
は、それとなくかばってくれるのだ。

 次に、仕事が終った時のごほうびを、いつもよりハイグレードなものにすべ
く、想いをめぐらす。
 ごほうびと言っても、何、晩酌の酒をちょっぴり上等な銘柄にしたり、仕事
帰り青春系のレンタルDVDを借りたり、ゴージャスな気分になれると言う理由
で数本のバラやユリを買う。この程度でよいのだ。
 この程度でよいのだがこれがあるのとないのとでは、精神的な不快指数と相
手方に対するゆとり感が全く違う。
「あの人はあの人。私は私」
 と、マイペースを保つことが出来る。

 余談ながら、不幸にして向こうが意地悪マネキンでこちらをいじめてきたと
しても、それと同じ行為を返してはいけない。絶対にいけない。
 そもそも他人をいじめる人は何らかの形で歪んだ存在。外にも内にもいびつ
なエネルギーを発し続けているうちにいじめのベテランとなっている。
 そんなマイナス光線は
「のれんに腕押しよ」
 と、のらりくらりかわしましょう。