あおいくま~あ あせるな その1「りゃりゃ器材が届いていない!」

 さて、今度こそ、本当の本当。
「あおいくま」の最初の項、「あせるな」に値するもろもろのケースを紹介し
たい。

 あせるケースで一番多いのは、デモ実施に関連する機材、具体的にはレンジ
やグリル鍋、電気ポット、試供品、景品、デモ用カップやフォークなどが、デ
モ当日に実施店に届いていないケース。
 個人的な体験を振り返っても、これは、ちょくちょくある。

 原因はいろいろ。
 機材輸送先であるメーカーや派遣会社の手違い。
 豪雪や台風など、自然現象による交通路の凍結。
 店舗側の保管状況の悪さ(舞台に例えるなら楽屋裏にあたる店舗内部、通称
「バックヤード」は、我々が想像する以上に乱雑で整理整頓が行き届いていな
い。ものがなくなりやすい)。

 いずれにしろ、デモを実施する当の我々にとって非常に困る事態であること
は間違いない。
 それでなくても、開店前は、店もそうだけれど、我々も準備に忙しい。
 調理を要するデモだとなおさら。鍋ものなど、何種類もの具材を使う。それ
を洗って、切るだけでも手間。
 プラス、試食用に作るのだから、通常のサイズよりは小さめにカットしなけ
ればならない。これが、けっこう時間がかかるのだ。
 大げさに述べるなら一分一秒を争う開店前なのに、そのうえ器材が届いてい
ないとしたら……。
 もう、焦ってしまう。
 焦らない方がどうかしている。
 
 試飲用カップやフォーク、試供品はデモ実施店で購入すればよい。
 景品はなしでもよい。
 頭を抱え込んでしまうのは、グリル鍋、レンジなどの調理器材だ。
 何せ、調理そのものが出来ない。
 焦りは増すばかり。

 もっとも、ここで焦っても仕方がない。
 土壇場でデモを中止するわけにはいかないのだから、冷静になって、どうし
たらよいか、策を練らねばならない。

 こういう場合、とるべき対策は、次の三つ。

 1、実施店舗に鍋やレンジを借りる。
  
  これは、私の経験では、鍋はかなりの確率で願いを聞いてもらえる。レンジ
  も、従業員休憩室にレンジがあればOKのところが多い。

 2、実施店舗で鍋なりレンジを購入する。

  店舗側も売上につながることではあり、購入を告げるとホクホク顔になる。
  ただ、売っていない店も多い。さらに、われわれデモ実施者が余分に金銭を
  用意していたらよい
  が、そうでなかったら……。
  デモ実施者が学生だったら、そう簡単にポンと購入出来ないはずだ。

 3、本来、器材を送るはずだったメーカーや派遣会社が、実施店舗まで新たに
  器材を運ぶ。

  先だっての宇治での「器材未到着」のケースは、これだった。

 まあ、こういう時間の追い上げによる焦りは、まだいい。
 真実の焦り、そして何より良くない焦りは、精神面での焦り。
 これは、焦りが焦りを呼ぶ連鎖反応を呼ぶため、こちらの方が影響が大きい。

 この焦りについては、具体例を交え、次回に書こう。
 いやぁ、五年前の出来事ではあったが、私もこの時はまいったのだ。