思わずにんまり~誰しも豊かではない

 昨日は、桂の某ドラッグストアにて、大手製薬会社が製造販売している青汁のデモ。
 健康ブームを反映してか、関心度は高く、反応は上々。
 だが、値段を目にすると、お客様は引いてしまう。
 近所の店では2800円だが、この店では2940円なのだ。

 昼過ぎ、視察に来た営業マン(来なきゃいいのに! 来たって、横にいてこちらを監視しつつボサッと
立っているだけで、何の役にも立たない)にこのことを訴えると
「当社の青汁は他メーカーとクオリティが違う。スーパーで売っていような青汁と一緒にされるのは
心外だ。だから、この値段なのだ」
 と答え、原材料だとか製法だとか効能だとか専門的なことを並べた。

 そこへ来た、中年の男性客。
 青汁を試飲し、プライスカードに目を止め
「高いな」。
「は、それはですね」
 と営業が説明を始める。
 聞いたお客様
「それにしても、2940円、ポンとよう出さんわ。ほんまに効果あるかどうかもわからんし。お試しセッ
トみたいなんがあったら、そちらを試してみて、ほんまにエエとわかったら、俺は買うがな」
 営業は何も答えなかった。

 聞いていて、私は心の中でにんまり。
 私が普段から感じていたことを、このお客さんは、お客さんの言葉でメーカーに伝えてくれたのだ。

 けっきょく、売れたのは二個。
 しんどかった。
 この手の商品のデモはやりたくないのが本音。
 一日担当すると、心労で、確実に体重が落ちる(ただし、その後、やはりストレスで飲んだり食べた
りするから、すぐ増える)。

 2940円。高いよ。高い。
 定年退職後の生活習慣病に悩む人たちをターゲットにしているらしいが、誰しもが「豊かなリタイ
ア」を迎えているわけではない。
 少ない年金でかつかつに生活している老世帯は、たくさんある。