マネキンとは

 人形ではなく、人間のマネキンとは?

 金田一京助が編集した、四十年来親しんでいる辞書を引くと、こう記載されている。

「百貨店などに雇われて、きれいな服を着て、物品を宣伝販売する婦人。マヌカン」。

 笑ったのは、私だけ?
 何がきれいな服なもんかね。
 いつも、いつも、白いブラウスと黒いスラックス、基本的に地味色のエプロンだよ(とは言え、このエプロンだけは、ここ数年で規制緩和が進んだかして、けっこうド派手エプロンをメーカー自体が用意するようになった)。
 
 季節によっては、カーディガンやセーターをまとう。
 これも色は暗黙のうちに決まっている。
 黒かグレイか紺だ。
 
 もっとも、食料品ではなく、他の部署では、もしかして、本当にきれいな服を着ているのかも知れないな。

 それはさておき、他の箇所はだいたい当たっている。

 大竹しのぶと同い年の私が12歳の時に買い求めた辞書にこう載っているということは、この仕事、昔
からあったのだろうね。
 事実、マネキン歴三十年、四十年のベテランはザラにいる。