五十路を過ぎて女子力をアップせんとしたきっかけは、単純明解な、だが揺るぎのない「真実」を
直視したことによる。
それは、
「もう若くない」
ということ。
少なくとも、肉体からは若さが失われてしまった今、痛切に感じる。
「若さは、ありとあらゆる身体上の欠点を補いえる武器だ」
と。
そう!
「若い」。
この前では、桜島大根のような脚であろうが、上から下までストーンのメリハリのないヘビ型体型
であろうが、故坂本九も真っ青の月面のクレーターを想わせるニキビ面であろうが、何ということは
ないのだ。
そう!
「若い」。
これだけで光り輝いているのだ!
そう!
「若い」。
この現実の前では、愛する人に去られて身も蓋もなく泣き崩れる姿や、将来を想い煩って懊悩した
挙げ句に出来てしまった目の下のクマすら、美しく見えてしまう……おばさんには。
若い人はそれだけで誰しも独自の美しさを持っている。
おばさんは違う。
意識して、努力しないと、日一日と中性化し、男とも女ともわからぬ醜いケダモノとなっていく。
接客業をしていて、時おり、はっとするほど美しいおばさんに接することがある。
尋ねると、皆さん、相応に努力しておられる。
テレビを観ながらでも顔体操をしておられたり、つとめて歩くようにしておられたり。
そういう方は、間違いなく表情も豊かで、目がいきいきと輝き、姿勢もシャンとしておられる。
見習いたいと思う。
外見から受ける印象は、実は売り上げにもけっこう関係するのよ。