私と同世代であれば、映画「スターウォーズ」に特別な思い入れを抱いている
人は、多いのではないか。
本当に、あれは、当時の映画のありきたりな観念をくつがえしてしまうくらい
に、スゴい映画だった。
そのスゴい映画にハン・ソロという重要な役割で出演していたのが、ハリソン・
フォード。
今回は、このフォードが主演したもう一つのスゴい映画「逃亡者」を紹介しよ
う。
「逃亡者」は元はアメリカのテレビドラマ。実際に似たような事件があった社
会的な背景もあり、どの回も高視聴率をマークした。
映画は、「妻殺しのぬれぎぬ」を着せられた医師キンブルの逃亡と、キンブル
を執拗に追う刑事ジェラードの非情さという、従来の基本路線はそのまま残しつ
つ、物語の設定は大きく変えてある。
TVドラマと映画の製作年のズレを考慮すれば、当然だろう。
「あの程度の証拠で妻を殺害したと断定し、死刑判決を言い渡せるのかなあ?」
という大きな疑問はひとまず横に置く。
映画の筋運び自体は、はじまりから終わりまでハラハラドキドキヒヤヒヤの連続。スピーディな展開で、全く飽きなかった。
その意味ではエンターテイメントとして一級だと思う。
ハリソン・フォード演じるキンブルを追うジェラード刑事役のトミー・リー・
ジョーンズがまたよかったね。
労働者階級に生まれ、油田工をしながら苦学して奨学金を得てハーバード大学
に進み、映画デビュー後もなかなか芽が出なかった「苦労人」だけに、あの執念
深さは迫り来るものがあった。
結末を迎え、
「ふうん。まあ、医者の世界ってどこの国でもあんなものなのね」
と思ってしまった私は、ひねくれもの?
でも、半年ほど医療関係の広告雑誌の営業をして医者と呼ばれる人たちの実態
に少しは触れた私は、妙に納得してしまった。
何がセンセイなもんかね。
名誉欲と金欲にとらわれ、同業者の中傷誹謗、策略、煽動、足の引っぱり合い
は日常茶飯事。
もちろん、そうでない、立派なお医者さんもたくさんいる。
ぽっかりと時間が空いたけれど、さしてすることもない「空白の時」に観るの
にぴったりの映画。