ゴジラの逆襲

 女性でゴジラファンは珍しいと言う。
 私も以前は大嫌いだった。
 まずは、あのルックス。
 トカゲだか恐竜だか知らないけれど、全身ゴツゴツしていて、背中にヒレまで
つけて、グロテスクそのもの。
 ゴジラ以外の怪獣や自衛隊や警官とのバトルシーンも眉をひそめた。
 何よりゴジラが一足歩き、尻尾を一振りするたびに、建物が破壊され、道路が
踏みつぶされ、町のそこかしこで火の手があがる。
 それがいやだった。

 それが変わったのは、ネットで知り合ったシアトル在住のジムとメール交換す
るようになってからである。
 ジャズメンの彼。バンド仲間の日本人男性からゴジラガメラの存在を教えら
れ、アメリカで公開されたそれらの映画(英語吹き替え版)を観、ますます興味を
抱くようになった。
 私へのメールにも、毎回毎回
ゴジラガメラは日本の文化。あなたはそれを誇りに感じないといけない」
 などと書いてくる。
 そんなに素晴らしいのだろうかと、まずはガメラが大活躍する「イリスの覚醒」
を観に行った。もう十年ほど前のことだ(確か。正確な年代は覚えていない)。
 この映画で、私のそれまでの怪獣映画に対する認識は完全に変わった。

 さて、今回観た「ゴジラの逆襲」は、前年の昭和29年に大ヒットした「ゴジラ
の続編。ゴジラシリーズの二作目に当たる。
 前回、天才科学者、芹沢博士が発明した秘密兵器オキシジェンデストロイヤー
により、海の泡と消えたはずのゴジラ
 どっこい、ゴジラは一匹だけではなかったのだ。
 
 今回、ゴジラは大阪に上陸。見た目の醜悪さと凶暴性ではゴジラを上回る怪獣
アンギラスまでもやってきて、大阪城を背景に死闘をくりひろげる。
 宿敵アンギラスをしとめ、城の堀に叩き込むゴジラ
 しかし、このバトルのおかげで、歴史ある大阪城はバラバラになり、大阪市
は廃墟と化す。
 ゴジラは海へ去り、北へ向かう。
 北海道沖の千島列島群の一つに上陸。
 冬山の中、ゴジラ自衛隊空軍との闘いが始まる……。

 この「ゴジラの逆襲」。大傑作だった一作目と、これまた話題性の上でもファ
ンを沸かせた三作目にはさまれ、低く評価されている。
 確かにテンポが少しゆるい気がする。
 とは言え、わずか三ヶ月で製作されたことを考えれば、娯楽映画として及第点
はとれていると思う。

 昭和三十年の大阪の町の様子が、ミニチュアながら見られるのも、嬉しい限り。
 大阪市営地下鉄は、当時から走っていたんだね。


 1955年製作 日本
 監督 小田基義円谷英二
 出演 小泉博、若山セツ子、他