ダイニング若の実演販売を通じて感じたあれこれ

 週末の土曜日はジャスコ高槻店で、「ダイニング若」(エバラ)のちゃんこ鍋のデモ。

 「ダイニング若」は、ご存知のように、元横綱若乃花(字はこれであっているかしら)が経営する店舗
のちゃんこ鍋の味を市販化した商品。
 仕上げに少量のゴマ油をたらすのがミソで、コクがあり、非常に美味。
 価格的にも求めやすい。
 こういう商品は、試食していただければ高確率でお買い求め頂けるので、いかにたくさんのお客様に
味をみてもらえるかが、売上を大きく左右する。
 
 それなのに、この日、
「売場に電源がないから、バックヤードで作って売場に運びなさい」
 と指示された。

 ううううー。
 不利。決定的に不利。
 鍋をはじめ、ラーメンやうどんなどの汁系食品は、デモをするその場で作りながら商品説明しない
と、売れない。その前に試食が出ない。
 匂いが消えるからだ。
 
 この「匂い」というヤツ、影響が大きいのよ。
 食べものを美味しく感じさせるのは、まず見た目(視覚)と言うけれど、私はそうではないと思う。
 匂い(嗅覚)だ。
 人間も動物の一種だもの。

 この匂いが消される。
 大いなるハンデ。

「しゃーないやん。店がそう言うんやから。今日は骨休みや思うて、自分のペースで仕事したらええ
ねん」
 と、バックヤードの試食準備室でいっしょになったおばさんにアドバイスされ、その通りだと納得。
 売上が悪かったとしても、こちらに!00%の責任はない。

 結果は上々。
「ダイニング若」の知名度は大したもので、この名を口にしただけで
「へえー、あの若の店のちゃんこなん? 一度食べてみよう」
 と人が寄ってくる。
 ブランドの威力は侮れない。

 松前屋の昆布つゆのデモをした時も似たような現象があった。
 「松前屋」の名だけで買っていくのだ。
「あの老舗の昆布屋のつゆだ」
 とのセリフと共に。

 そんなんやったらマネキンはいらんやんと思われそうだが、消費者の財布の締め具合も侮れない。
 メーカーもこれは知っている。
 やはりマネキンは必要なんである。

 「ダイニング若」の偉いところは、ブランド品にもかかわらず、一般庶民の主婦にも手が出やすい
価格に設定したこと。定価だと決して安くはないにしろ、高くもない。
 まさに、一時ダイエーがスローガンにかかげた「良いものを安く」のスピリット。
 マーケティングのセンスが光るネ。