ガメラ3 邪神イリス覚醒

 アメリカのメールフレンド、ジムの強い薦めで観、それまで偏見を抱いていた怪獣映画を見直すきっかけとなった、我が映画鑑賞史の上で記念碑的な位置をしめる本作。
 ツタヤのネットレンタルに予約して、待たされること一年。やっと観ることが出来た。


 1999年。「人を食う」悪玉怪獣ギャオスが、世界各地で発生。被害が多発。
 その一方で、四年前、ギャオスとガメラの闘いの巻き添えで両親を失った比良坂綾奈と弟は、奈良の南明日香村に住む親戚に引き取られていた。綾奈の心は両親と愛猫のイリスを奪うもととなったガメラへの憎悪に満ちている。
 そんな綾奈と弟をよそものとしていじめる同級生の女子三人組。ある日、洞窟に綾奈を誘い込み、動かしてはならぬとされる柳星張の石(実際は卵)を取ってくるよう、命じる。
「言う通りにしたら、私と弟をもうよそもの扱いしないよね?」
 綾奈は従う。
 週末。東京をギャオスが襲撃。退治せんと追って来たガメラとの間で激闘が繰り広げられ、ギャオスは撃滅。しかし、まさにその時、綾奈が見つけた卵からある生物が誕生したのだ。
 生物に亡き愛猫の名をとってイリスと名付けた綾奈は、密かにその生物を育てはじめる……両親と愛猫の敵を彼(?)がとってくれることを願って。彼がギャオスの変異体であるとも知らずに。


 これは大人向けの怪獣映画だ。ガメラと言えば「正義の味方」であり「お子様愛用」のイメージが強いのだが、この作に限れば、子どもには難しいストーリーだし、エロチシズムを感じる描写もある(成長したイリスに、綾奈が制服のボタンを外し、胸をはだけて「イリス、あついよ」とささやきながら抱きしめられる場面。イリスとしては、綾奈と融合し、パワーアップをはかりたかっただけ)。
 また、古の都、京都で、死闘の末にイリスを倒し、綾奈を救い出したガメラが、緑色の血をしたたらせ、満身創痍の身体で叫びながら尚、人類の敵ギャオスを倒さんと、彼方に向かって敢然と飛び去る姿には、何とも形容しがたい男気を感じる。
 ガメラは、ほんま、男の中の男なんや。
 ルックスはともかく、あの雄々しい後ろ姿には、ホレボレした。

 本作は、かつての私同様、怪獣映画にややもすれば眉をひそめがちな女性の方にこそ観てもらいたいと、切に願う。