リー八世とその妻」を聞いている。
生涯に六人の妻をめとり、二人を離婚、二人を処刑、一人を産褥死させたイギリス国王ヘンリー八世
の妻たちの生涯を、美しいバラードにたくした作品。最初に聞いたのは、私が高校生の時だった。
とが出来るので、興味を持たれた方はそちらを参照していただくとして、私が彼女たちに共感するのは、
あの中世から近世へと移りつつあった息苦しさ満点の時代に生きた女としての苦悩は、世の価値観も道
徳観も変わってきている現代の女のそれに、通じるものがあるからと思っているから。
本当、王族だの庶民だの、関係ないのよ。
仲良しのネット友はこうメールをよこした。
「私もいつクビを切られるか。コンピュータの登場で、ソロバンも簿記もいらなくなった。私は独身だ
から、妻子をかかえる既婚男性社員より肩たたきしやすいはず」。
私が長年たずさわっていたデザイン業界もそう。
仕事で知り合い、ご主人と小さな印刷所を経営していた友人も、とうとう昨年いっぱいで廃業した。
「主人のひいじいさんの代から続いてきた印刷所なんで、何としても踏ん張りたかったのですが、これ
以上続けても借金がかさむばかりで。と言って、デザインとコピーライティング以外にしたことのない
五十代の私に、そうそう仕事はありません」。
世はどう動くのか。
大切なのは、生き力ね。
地べたをはいずりまわってでも生き抜いてやるぞという、ゴキブリの生命力にも似た、しぶとさ。
個人的な体験で言わせてもらえば、人間、イザとなれば、けっこういろいろなことが出来る。
この私だって、一番苦手なはずの接客業で、現在は食べているんだから。
それも、仕事を月に数件断っているほど依頼がくることを考えれば、あながち向いていないこともな
いのだろう。
あと、飛び込みセールスや電話セールス、コンビニ店員、レジ係もやったよ。
どれも、そこそこ。
自分をあまり決めつけない方かいい。