大阪南部の某大型店に連続して派遣された。
度重なるうち、
「イジワルな従業員が多いこの店、二度と来たくない」
と強く思い、派遣会社にその旨を伝えた。
昨年の十一月の初め、この店と比較的に近所にあるコープ貝塚店に派遣された。
昼の休憩時間に、マネキン同士で会食しているおり、誰からともなくこの店のことが話題にのぼった。
「ああ、あそこね」
一人が言った。
「何年か前に行きはった人は、皆、言うてはるね、あの店だけは金輪際ごめんやと。でも、今は違う。いい雰囲気になっている」
「どんなふうに?」
「正社員もパートさんも、皆、優しい。統括マネージャーが変わりはってん。それから、イケズな精肉
のデブおばはんをはじめ、うるさい人はやめはったり、移動したり。めちゃ、明るうなったで」
「ほんま? あそこの肉売場に行かされた人は泣いて帰るんが普通やと、誰かが話していたがなあ」
「やから、それは、昔のことや」
同様の話は、その後も何度か、他店で聞いた。
「今はいい雰囲気になっている」のは、真実なのだろう。
決めつけてはいけないと感じる。
人間がそうであるように、店も変わっていくのだ。
とは言え、一度不愉快な思いをするとその感情はずっとひきずり、対象への先入観も一段と深まる。
人間は「自分の決めつけ」からもなかなか逃れられない。
それが、どんなに自分を小さくするか、わかりつつ。
後日、派遣会社に電話をした。
「あの店の仕事があったらまわして下さい。行きますよ」
結果、やはり嫌だったら、次回から断ればよいのだし、そうでなければ万々歳。
ちなみにこの店、高級料亭にも出されている日本酒「なにわ正宗」の本場にある。
まわされたら、酒と海産物を土産に買って帰ろう。