役者心

某サイトで
「心はタイフーンのように荒れていても、ひとたび現場に入れば、しゃきっとします。笑顔を浮かべる
ことが出来ます」
 と投稿したら、
「すごい! 本物のプロ」
 と返事を返してきた人がいた。
 元食品関連の店舗の中間管理職。
 彼自身は笑顔に自信がなく、周囲からもいじめられることが多く、病気になって退職。
 現在は職人仕事をしている。

 対人関係が得意なのではない。
 典型的な、胃潰瘍になりやすいタイプ。
 ただ、同じくらい役者心がある。
 子どもの頃からお話を作るのが大好きで、自分で考えたお芝居を友だちと校庭で演じていたくらい
だから。
 美貌に恵まれ、吃音でなく、背骨も曲がってしまわなかったら、演技派の女優を目指していたかも
知れない。
 岸田今日子みたいな、複雑な業を背負った役を得意とする。
 音楽やダンスも嫌いではなかったし。

 反面
「あなたは演技が出来ない人」
 ともよく言われる。

 演じていても演じていないように見られる?
 否! 演じていなくても演じているように見られる?

 確かなのは、私は、たぶん通常の人よりはちょっぴり多くのイマジネーションに恵まれている。
 このイマジネーションのおかげで、現場に立つことが苦痛ではない。

 ありがたいことだ。