プチめしとかゆー菜

お尋ねしたいことがある。
 
 六年ほど前、ニチレイから販売された「プチめし」を覚えておられる方はいますか?
 「レンジでチンするだけで美味しいカレーライスやチキンライスが食べられる」とうたった、カップ
型の冷凍ライスで、発売当初こそ会社がテレビCMに力を入れたこともあり、
「おやつや夜食、小腹がすいた時にいい。食器を洗う手間もいらないし」
 と評判になったが、だんだんと売れなくなり、いつのまにやら店頭から姿を消してしまった。
「味はようても、量の割に高いワ。それに、子どもやダイエット中の女性にはあれくらいが適量なんや
ろうけど、そうでないもんにとっては例えおやつでも全然足りへんデ」
 これは、滋賀県中部にある某大手スーパーの、当時の冷凍食品担当者の意見である。

 私には、この「プチめし」と、年明けから二度ばかりデモを受け持った「かゆー菜」(キリン)が、だ
ぶって仕方がない。
 「かゆー菜」も、お湯を注げばたっぷりと具材が入った梅粥やたまご粥が楽しめる点で「プチめし」
に通じる手軽さがあるし、味も即席にしては悪くなく(そりゃ米から作った粥よりは落ちるよ)、持ち運
びにもかさばらないサイズなのだが、いかんせん高い。
 セール価格で一個178円だもの。
 シジミ900個ぶんのオルニチンを含む「健康性」を考慮しても、やはり高い。
 少なくとも、商品の性質からして、三十代の家族連れがメイン客層の店では、販売はかなり難しい
はずである。

 このことを如実に知らしめたのが、一昨日の平和堂アルプラザ栗東店でのデモ。
 「二十代から三十代の夫婦と幼児または学童の子どもが二人」という家族構成のお客様が主流のこ
こでは、一人暮らしのお年寄りや二世帯同居がまだ多い同じ平和堂のビバシティと比べると、悲しい
ほど売れなかった。
 そりゃあ、一個178円なら、お客様の気持ちもわかる。大黒柱が若くてそんなに収入がない上に、
この不景気で収入は頭打ち。四人家族なら、幾らかかるのよ?
 そもそも梅粥やたまご粥なんて、残りご飯を利用すれば出来るし。
 お金を払ってまで買う必要はないと、思っておられることだろう。

 そんな中、まとめ買いしてくれたお客様がいた。
「これ、いいですね。商品の買い付けによく海外に行くんですが、眠る前に何かちょっと欲しくなる
こと、あるんです。でも、ホテルで売っているものは高いし、カロリーもハイな食べ物がほとんどだ
し」
 三十代なかばとお見受けしたキャリア風美人のこのお客様、九個も購入して下さった。
 
 ふうむ。
 こんなお客様が数多かったら、プチめしも廃番には追い込まれなかっただろうね。

 プチめしにしろ、かゆー菜にしろ、ビジネス街や主に通勤客が立ち寄る駅前のコンビニなら売れる
はず。
 高齢の単独住まいがかなりの比重を占めるいなかの小スーパーでも、そこそこの販売数字は示すだ
ろう。
 その理由が理由だけに、いわゆる普通のスーパーでは?

 ちなみに、皆さんは買いたいと思いますか?