同店で催されていた「トロピカルフルーツ祭り」の一環としての仕事だった。
ここまで読んで
「あれ?」
と思われた方は多いに違いない。
そう。ブルーベリーはトロピカルフルーツではない。
にもかかわらず、どうしてこの催事に組み入れられたのだろう?
ビジュアル的にも、キウイーやパイナップル、マンゴー、バナナなど、カラフルな暖色系フルーツに囲まれて明らかに「浮いていた」。
催事場にドラゴンフルーツという、紅色のフルーツが並べられていた(下の写真)。

ごらんのとおり、色も形もどことなく憎々しげで、まさに「ドラゴン」の名にふさわしい外
観。添えられたPOPに寄ると、原産地はベトナム。味は、淡白ながら酸味と甘味のバランスがとれ、非常にまろやかだと言う。
もっとも、お客さんの一人によると
「過大表現もいいところ」。
「昨年、沖縄に住む親戚に送ってもらったけれど、味があるようなないような。水っぽくて、食べられたもんじゃない」。
その言葉を聞き、ひとつ確かめてみようと、一つだけ買った。
縦四つに割ると、中央の芯の部分にのみゴマを振っているみたいな、白い果肉があらわれる。たいへん柔らかく、ジューシー。それでも、まあ……喉がとくべつ乾いているとか身体が熱っぽいとか、そういう時でないと美味とは感じない味ですな
あ、これは。
少なくとも「ドラゴン」のコトバが醸し出すアクの強さは全くない。
ベトナムや沖縄の人はドラゴンフルーツをどのように食べているのだろう?
あちらの陽射しと湿度は日本よりずっと強烈だろうから、そのような場所で食べると美味しいのかも知れない。