写真をようく見て欲しい。
ぱっと見は、何の変哲もない、むしろ殺風景とも言える灰色の空間。前の記事で紹介した
店舗の従業員休憩室だ。
その中に、さりげなく、手作り人形が立つ。
いいねえ。たったそれだけのことだが、全体が何かしら和む。
無味乾燥とした荒れ地に可憐な小花が咲いたようだ。
こういうちょっとした心遣いが出来るのは、気持ちにゆとりがある
証拠。
そのゆとりが「人形」というカタチになってあらわれ、周囲にも伝播していく。
人形を製作した同店のパートさんはこころの豊かな人だが、それ
を飾らせてくれる店も、同じようにこころが豊かだ。
豊かさはあふれ、あちらこちらにおすそわけされていく。
この店からそう離れていない場所に、某ホームセンターがある。
ここの従業員休憩室も特にどうということはないが、いつもミネラルウォーターの空き
ボトルを利用した花瓶に季節の花が生けられており、昼食をとったりお茶を飲んだりする
私たちはホンワカとした気分になったものだ。
強引に言い切ってしまうことが許されるなら、人形にしろ花にしろ、なかったらなかっ
たですむこと。どうしてもその場に必要なものではない。
きちんと掃除をして整理整頓が出来ていればよいのではないか。こうおっしゃる方も多
いだろう。
そこを、敢えて「可愛い小物やきれいな花があったら、見て楽しいよね」と、飾る。
このプラスアルファの発想が、否、それを生み出す「おおらかさ」が、人を感
動させるのだ。
従業員の「おおらかさ」を育むことの出来る職場は、例外なく、
風通しがよい。
理不尽な派閥や序列、新人いじめもなく、仕事上では遠慮なく意見を交換しあい(人間だ
もの。業務をこなしていけば、誤解も生じるし、連絡ミスやら言葉の取り違いやら、いろ
いろな問題がおこってくる)、あとに残さない。
従業員間の人間関係がよいから、自分たちが少しでも仕事をしやすいよう、自発的に考
え、行動する。
結果、従業員が過ごす休憩室やトイレはいつもすっきりしている。
従業員同士の仲の良さは、私たち外部の人間や業者、取引先に
対する態度に、ストレートに反映される。
気分面での余裕が
「マネキンさんや業者さん、取引さんだって、仕事を離れたらお
客さんなんだ」ということを、わからせているからだ。
このテーマ、もう少し続けよう。