すき焼きの中身

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マネキンになって9年目。
すき焼きのデモンストレーションも数え切れないほど担当させてい
ただき、その都度
「すき焼きって、やっぱ、日本の国民的料理の一つだわなあ。嫌い
な人って、滅多におれへんもんなあ」
との感を強く抱く私である。

実際、すき焼きで試食が出ないケースは、庶民クラスがメイン客層
の店舗なら、まずない。
そもそも、コクのあるあの香りからして、ヒトの鼻孔をヒクヒクと
させ、胃袋を反応させる。
匂いも「食」の一つなのだ。

例外が、ただ一度ある。
マネキン二年目。まだまだ駆け出しだった七年前の六月末、平和堂
ビバシティで実施した「キノコすき焼き」(担当はエバラ「すき焼きのたれ」)のデモ。
価格も手頃だったのに、試食の出が鈍く、売上も低飛行。
あまりに手応えがないので、昼休憩中に他社のベテランマネキンさ
んにアドバイスをあおぐ
「具が肉とキノコだけなのはなあ。キノコは好き嫌いがあるし、そ
もそもキノコのシーズンでもない今はそう美味しいはずもなし。キ
ノコも売らなあかん時はしゃーないけど、そうやないんやろ? 一
回、派遣会社に電話して、事情を言うて、オーソドックスなすき焼
きの具に変えてもろうたら? 具が何であろうと、店もメーカーも
商品が売れたらエエんやからね」
との回答をいただいた。

果たして。その通り。
牛肉とキノコ三種類の具から白菜やら白ネギやらの「普通のすき焼
き」の具に変更するや、試食は急上昇。売上も比例し
「さすが、長年やっているだけのことはあるなあ。新人の私らは指
示された通りにしか仕事をようこなせんけれど、慣れている人は自
分でアレンジするんや。そこが、場数を踏んだ者の貫禄やなあ」
と、敬服したものである。

今回の創味食品の「すき焼きのたれ」のデモも、メーカーの指示で
は野菜は春菊だけ。
ただ、「アレンジ可」と指示書に記載されていたので、私が派遣会
社の人選に
「春菊は好き嫌いが大きいから白菜ではいけませんか?」
とメールし、OKの許可をもらった。
春菊では、正直、あんなに試食は出なかったと思う。

最近は、ユニークなすき焼きも人気と聞く。
レタスすき焼き、トマトすき焼き、根菜すき焼き、カレーすき焼き。
試食に出したら、どんな反応がお客様から返ってくるのだろう?