一個ぐらい買わんかいっ


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さて。

歩き過ぎ、膝に水が溜まってむくんでしまった左足をガクガクさせながら山から降りてきたところで、携帯のベルが鳴った。 
緊急の仕事依頼だった。
自宅から三十分とはかからない近場の大型店で、アイスケーキのデモンストレーション。

このチェーンは、どこの店舗もはなっから食べるだけのつもりのお客さんが多いことで知られており、ある程度は覚悟していたものの、いざ現場に立つと、やはり気持ちを割り切るのに苦労した。立て替え金が、午前中だけで5000円近くに達したからだろうか。

類は類を呼ぶのだね。正午近く、顔だけはレーガン元大統領みたいな
おっさんが四段腹を揺すりながらやってきて、こちらの商品説明も何のその、腹部に負けない巨大な口をパカッと開け、アイスケーキ四種類をガガガガーと味見して行った。
「オー、ラブリー! サンキュー」。

ちょっと!  そんだけ食べたのなら、一個ぐらい買わんかいっ! ラブリーのお世辞だけじゃすまんぞ!

もっとも、外人さんは、はっきり二分されるんだけれど。
礼儀正しくこちらが遠慮してしまうほど気を使うタイプと、「タダで食べられるネ。フォッ、フォッ、フォッ」とほくそえむタイプと。
結局は、その人のキャラだろう。

写真は、くだんの店舗近くの歩道沿いの花壇。
いささかささくれだったココロを、優しく包んでくれた。