お仕事おねだり


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いっとき、私ほど頻繁に「お仕事おねだり」の電話やメールをする人間はいないのではないかと、感じたことがある。一にも二にも稼がないといけない状況に置かれていたからだ。
実際、派遣会社の人選担当者宛にマメに仕事を打診してくる人は、事情を抱えているケースが少なくない。夫がいないとか、いても病気療養中で収入がないとか、教育に最も金のかかる時期の子どもが複数いるとか、自営業を畳む際にこしらえた借金が残っているとか。

「お仕事おねだり」は、ある意味、もともと下手にいるこちらが更に下手に出ると公言したようなもの。同業者が敬遠しがちな内容や現場をまわされる確率が高くなるのは、仕方のないことかも知れない。

一つだけ例をあげれば、健康酢のデモ。酢ブームが去った現在でもたまに担当しているが、いずれも飲みやすい味ではない上、価格が高めで、効能もイマイチはっきりしないため、なかなか販売に結びつかない。店舗によっては、最悪、ゼロか、限りなくそれに近い数しか出ない日もある。
「お仕事おねだり」をすると、こんな商品を振り当てられる可能性が強まるのだ。
でなければ、マネキンいじめで有名な責任者がいる店舗に行かされたりする。

と言って、お仕事おねだりを全くしないのも、実は考えものなのだ。派遣会社の人選担当者も人の子だから、仕事を振る際、「仕事ありませんかあ?」とよく連絡してくる人を優先する。何もしてこない人は後回しとなり、次第に疎遠になってしまうこともないとは言い切れないからである。

結局は駆け引きなのね。押したり、引いたり。
そうして、お互いにバランスを保っているのだ。

写真は、滋賀県中部にある某店敷地内に立つ宝くじの神様の像。
宝くじが当たって大金が入り、働いても働かなくてもどちらでもよい立場になれば、「お仕事おねだり」は全くしなくなるだろうけれど。