マネキンゴキブリ説~弱い者が弱い者を叩く

 同業者の一人からこんなメールをもらって、どれくらい経ったろう。



今日、A(チェーン組織をとる某量販店・仮名)のB店(仮名)での仕事が終わり、店の担当者から報告書に印鑑をもらう時、印鑑を押されながらその人に「あんたらマネキン(宣伝販売担当者)はゴキブリみたいなもん」とせせら笑われた。メッチャ悔しい。


読み終わるや、頭に血がのぼるのがわかった。
ムカ~ッ。
何様のつもりやねん、この担当者。

怒りは数日間つづき、他の同業者にも気持ちをわかって欲しくて、先だって入った現場で一緒に昼食をとった仲間たちにも、メールの内容を伝えた。
皆、憤慨していた。
「ようそこまで! エラそうにするにも程がある」
「私らがゴキブリならそうおっしゃるオタクはゴキブリ以下ちゃいますかって、私なら返したるわ」
「ホンマ、私らもバカにされてるもんや」。
そんな中、たった一人、極めて冷静な口調でこう言った人がいた。
「そんな人は人格面で問題がある。普通の人じゃない。だから、こちらが腹を立ててもしようがない」。
そして、一息ついて
「むしろ、そういう人にならないよう、反面教師としてとらえたらエエねん。職業に限らんと、学歴や会社名なんかで、つい他人にレッテルを貼ってしまうこと、誰しもあるやんか。そんなんになるなと、気づかせてくれたんやで」。
なるほど。確かにね。
付け加えたら、それくらいのゆとりを持ってとらえた方が、私たちも心が楽になる。

とは言え、マネキンゴキブリ説は、正真正銘のパワハラである。出るべきところへ出れば、この担当者は然るべき制裁を受けるだろうが、そこは派遣会社や代理店、メーカーの思惑が絡むことは容易に想像されるから、さて、表沙汰になるところまで行くかどうか。
その前に、誠に残念ながら、一部の量販店は量販店の組織自体が依然としてパワハラ体質をかかえているからねえ、、、。
この担当者も、もしかしたら、自分の雇い先である量販店の誰それから日常的にパワハラを受けているのかも知れない。

パワハラを受けて心身ともに傷ついても、様々な事情もあり、人はそう簡単に職場を変われるものではない。
その無念や葛藤を、自分より立場が弱い者をいたぶることでウサを晴らす。
こんな輩(やから)もいるだろう。

弱い者が弱いものを叩く。
私たちの世界ばかりでなく、他の業界にもみられる、社会の「悲しい」一般構造だ。

ただ、みんな、本当はわかっているよね。
弱い者同士でいじめ合えば合うほど、その弱い者を支配している強い者は潤い、影でワハハと笑っているのよ。