生涯現役?の生き証人 84歳のデモンストレーター

この土曜日は、日本海に面する京都北部の舞鶴で仕事。かの「岸壁の母」の舞台であることでも知られる港町だ。

現場は、東舞鶴駅を降りて徒歩3分の場所にある総合スーパー。
もう一人デモンストレーターがいて、昼の休憩時間に
「どこから来たの?」
と尋ねたら、
「(京都市内の)二条から」
と答えたので、
「それなら、(やはり京都市内の)山科から来た私と、帰る方向は同じだね。帰りはご一緒に」
ということになった。

途中駅の綾部で特急電車待ちをしていた時、彼女が私に質問した。
「私、幾つに見える?」
「えっ、あー、70代前半、、、くらいですか?」
これは、お世辞ではない。
実際にその外見から見えた年齢である。
彼女はクスリと笑った。
「ありがとう。私、実は84歳やねんよ」
「えええええーっ?」
驚き桃の木山椒の木とは、まさにこのことである。

やや猫背ながら、立ち居振る舞いには何ら異常はない。
肌には張りと艶があり、声も明るく、よく伸びている。
口調にも適度なテンポがある。
間違っても80代半ばには、、、。

驚き桃の木山椒の木は、まだ続く。
彼女、何と、その年齢で月に半分は現場に立っていると語ったのだ。
「家にいてもしゃーないからねえ、、、。まあ、時間つぶしと思って。働くのは大好きだし、お声がかかるうちはと」。
デモンストレーターになる前は本や火災保険や冠婚葬祭などの営業をしていて、いずれでもインセンティブをたくさん貰っていたし、ご褒美の海外旅行もあったと語ったところから推測すると、モノを売ることに根っから向いているのだろうが、それにしても驚異だ。
デモンストレーター業を一度でも体験したことがある人なら、わかるはず。
この仕事、側から見るよりずっと肉体労働だからだ。
立ちっ放しのためか、二十代でも、夕方になると足がむくむとか腰がだるいとか膝が痛いとか、嘆く人は多い。
そんな中にあって、、、。

目下の彼女の目標は、あと10年はこの仕事を続けることだそう。
「私、依頼された仕事は断ったことがないねん。現場が遠くても販売が難しい商品でもうるさい担当者がおる店でも、こんな年寄りに(仕事を)よう振ってくれたと、ホンマにありがたく思うから。娘たちは、もうエエ加減にと、隠居を勧めるけれどね」。

今回、私にマスコミへのコネがないことを、とても残念に感じた。
その世界に知り合いがいれば、彼女にお願いして取材を受けてもらうなり、市民センターなどで講演をしてもらう(もちろん、進行役の司会者は付ける)糸口をつけるのだ。
高齢者への励みになるからね。
健康で、本人に労働意欲と仕事人としての自覚さえあれば、80代半ばになっても収入を得ることが出来るという生き証人である。

今度お会いした時は、ぜひ連絡先を交換し合おう。

写真は、仕事を終えた後、現場最寄りの東舞鶴駅でホッとくつろぎつつ撮ったもの。

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