1972年か3年だから、もう45年前くらい前になるのかしら。「京都の恋」や「長崎慕情」などで知られる歌手、渚ゆう子が「東京に三日、田舎に四日」というタイトルのシングルを発表した。
残念ながらヒットしたとは言いがたいので、知っている人は少ないと思うが、要は、週に三日は都会で働いて残りの四日は田舎で恋人とのんびり過ごしたい、そういう気持ちを歌ったものだった。
「いいねえ。こういう生活が出来たらいいな」。
まだ高校生で、将来の目標も定まっていなかった私だけれど、耳を傾けながら、ふと心で呟いた。
その思いは、還暦を過ぎた今も変わっていない。
先だって、その日の現場を共にした同業者たちと最寄りバス停で話し合った。
個人差や年齢差はあるけれど、多分に肉体労働の面を含み、かつ「超」感情労働であるこの仕事、月にどれくらいするのがベストか。
「ウチは、もう土日だけでエエわ」
と、私と同世代とおぼしき女性。
「(現場で)一日中立ちっぱなしはこたえる。家のこともせなあかんさかい」。
「まあなあ。やけど、この仕事、地震やら何やらあったらモロ影響を受けるからな、そういう時の備えの意味で、私は平日も週に1日くらい仕事が欲しいな」
と、これは見たところ彼女や私より少し上の70歳手前の同業者の言葉。
「わかるわかる。でも、ホンマ、平日は週に一日やな。二日になるとしんどい。三日働いて、四日休む。これがベスト」
と、また別の同業者。
この案に、場にいた全員が賛成。
まさに、「東京に三日、田舎に四日」の世界だ。
耳を傾けながら、皆、考えることは同じなんだなあと感じた次第。
尚、この「三日働いて、四日休む」のライフスタイルは、ただいま子育て真っ最中の女性や、反対に親としての責任を終えた後はじっくりと自分の人生と向かいたいと望む人にも悪くないのではないか。