効率至上主義での仕事分業制

美容室をチェーン展開する某企業の社長の自伝を読んだことがある。
その中に、美容学校を出て大手美容室に就職したところ、そこは完全分業制の勤務形態をとっており、「新人のお前はシャンプーが仕事だ」と、来る日も来る日もシャンプーばかりやらされて体調を崩してしまったエピソードが紹介されていた。

これ、共感出来る人、多くない?
そりゃ、「学校出たてで何の役にも立たんくせに」と言われてしまえばそれまでだが、人間はロボットじゃないんだもの。
同じ作業を延々とやらされていたら、士気も下がるし、心身もおかしくなる。

とは言え、効率至上主義のもと、完全分業制をとっている職場って多いねえ、、、。
スーパーにもあるよ。
例えば、惣菜部門なら、揚げ物オンリー、弁当オンリー、寿司オンリー、、、と、こんなふうに分かれていて、オンリーであるからにはひたすら同じ仕事を黙々と繰り返すのだ。

オンリーだから、技術の習得は早い。自分の仕事に責任感を持たせることも出来る。何より、組織全体の効率は確実によくなる。
しかしね、、、。

繰り返す。
人間はロボットではない。
揚げ物に習熟したら、次は時々でいいから弁当もやってみたい。
弁当も習熟したら、寿司も、、、。
いずれは惣菜部門すべての業務をマスターし、自分なりにこんな商品はどうかと提案もしてみたい。
こう願うのが、人間ではなくて?
程度の差こそあれ、誰しも向上心は持っているのだから。

効率至上主義での仕事の分業制。考えものだよ。
仕事に熱心で能力もある人ほど、嫌になってくるはず。
先の美容室チェーンの社長も書いていた。
「シャンプーが嫌なのではなく、いくら頑張ってもそのシャンプーから先に進めないことがもどかしかった」。

どんな企業も、興隆は有能な従業員の働きがあってこそ。
従業員をロボット扱いする企業は、絶対に成功しない。

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