試食品を予行演習~レシピを丸投げされ、料理ではなく実験。

明日からは、特にハードスケジュールで仕事が続く。
わけても明日。

メニュー自体が、貧しい我が家とはおよそご縁のない、舌を噛みそうな横文字料理。もちろん、作ったことは一度もないから、メーカーから届いたレシピにそい、自宅で何度か予行演習をしていかなければならない。

このメーカーから届いたレシピというのが、、、。
困るんだな、こんな書き方。調味料の分量がすべて「適宜」とか「好みの量で」とかの曖昧な表現になっている。
もっときちんと示してよ、「大さじ何杯」「〇〇g」、こんな表記で。

デモンストレーターは、原則、仕事では計量カップや計量スプーンできちんと計って試食品を作る。ものすごく味覚に敏感でカンのいい人、でもだ。
なぜなら、料理に慣れていない人にうまく説明できないからだ。
あなたが、あまり台所に立ったことがないとして、想像してみてごらん。
「これは、醤油とみりんで味付けします。量? お客さんが美味しいと感じる、適当な量でいいですよ」
と言われるのと、
「これは、水300mlに、醤油大さじ2、みりん小さじ2で味付けします」
と言われるのと、どちらがわかりやすい?

ついでに明かしてしまえば、こういう料理が得意でない人に
「これなら私でも作れるわ」
と買ってもらってこそ、売上は伸びる。

だから、レシピは詳細に書いて欲しいと、常に願っている。
にもかかわらず、たまに味付けをすべてこちらに丸投げしたような内容もくる。そんな時は、仕方がない、こちらで何度も試食品を作り、家族にも食べてもらって感想を聞きながら、こちらで「水〇〇ml、何々は大さじ何杯で、、、」と数字を探り出し、レシピの足りない部分を作っていく。

この作業。普段からよく食べている料理なら、さほど難しくない。
ところが、自分の生活とは全く別次元にある珍しい料理だと、こうはいかない。

明日のメニューも、このところ毎晩のように我が家で予行演習。調味料の量を少しずつ調整して、やっとベストバランスを掴んだ。
毎晩、しかも食べたい料理ではなく、試食用の料理を仕事のために作る一連の行為は、料理ではなく実験。
味を楽しむどころか、胃をいためてしまった。

もっとも、プロのコックやバーテンダーも、こうして何度も「実験」を重ね、自身は時に胃が痛む体験をしながら、我々に美味しい食事や飲み物を提供してくれているのだろう。