彼はスイーツ依存症だった?

生活のため、昼間の仕事を終えた後にコンビニで深夜まで働いていた時期がある。
そこにこんなお客さんがいた。

年の頃は30代後半から40代前半か。決まって夜10時過ぎに現れる。上等なスーツに趣味のいい柄のネクタイ。穏やかな風貌で、表情も語りも柔らか。パッと見、それなりの職場に勤めるエリートという感じ。
もっとも、このお客さんが私の記憶に強烈に焼きついたのは、その物腰ゆえんではない。彼が店で買う中身ゆえんだ。

ずばり、スイーツのオンパレード。菓子パン、ドーナッツ、シュークリーム、たっぷりの生クリームを巻いたロールケーキ、チョコレート菓子、ペットボトルのミルク紅茶、缶ココア、、、などなど。金額は一回につき、2000円から3000円の間くらい。
こんなにたくさんのスイーツ。もしかして家族や仲間のために買っているのかなと思ったこともあるが、それにしては連日のことなので、その考えはすぐに消えた。
やはり、彼は自分のために多量のスイーツを買っていたのだ。しかも毎日来るということは、買ったものはその日に食べてしまっているということだ。

当然ながら、私たち店員の間では、彼について様々な憶測が飛び交った。
「この近くに勤めているんかな?」
「そうちゃう。で、毎晩、残業帰りにここに寄って甘いものを買う」
「きっと、お酒が飲まれへん人やよ。晩酌代わりに甘いものをとっているんや、、、。糖分で疲れとストレスを解消してるんやと思う」
「そうだとしても、あまり太ってへんのは何でやろ? 甘いものを食べると太るはずなのに」
「体質かも。食べても肉がつきにくい体質」
「それか、ものすごく頭を使う仕事をしていて、脳がカロリーを全部吸収してしまうとか」。

友人の1人にも、この奇特なお客さんの話をした。友人は、彼の身体が糖分に慣れ切っているため(糖分を)いくらとっても「もっともっと」と要求するのではないかとの仮説を立てた。
「亡くなった父親がそうやった。甘いものではなく酒やったけれど。毛穴の一つ一つまでに酒がしみ込んでいたせいか、どんなに飲んでも満足せず、酒量は増えるばかり。肝炎になって医者に命にさし障ると忠告されても、飲んでいたよ。甘党のそのおじさんも、糖尿になってもお菓子を食べ続けるんじゃないかな」。

ううむ。
やはり依存症は怖い。
予備軍でいるうちに、何とか対策を立てたいものだ。

写真は、昨日のタマ駅長のクッキーの尻尾バージョン。

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