1日のうちでよかったことを3つ

修道女で元ノートルダム清心女子大学学長の渡辺和子氏は、「いまいる場所で咲きなさい」の名言で知られている。
渡辺氏自身は、9歳の時に目の前でお父さんが惨殺されるという悲惨な体験をし、そのトラウマが信仰の道に進んだきっかけの一つとなったことは、想像に難くない。
その渡辺氏がボストンの修道院に修道女留学をしていた時、修道女長からこんな課題を与えられたとか。
「今日良かったと思うことを3つ見つけ、ノートに書きなさい」
見つけられなかった渡辺氏は呆然とした。
3つ。たった3つの良いこと。でも、そのたった3つが、、、。

ここから、我々は、人間の傲慢さをあらためて知ることが出来る。
そもそも何事もなく目覚めていつものように仕事に行く。これだけでじゅうぶん「良かったこと」の中に入るはずだ。
なのに、我々は、目覚めるや、例えばこんなふうに感じていないか。
「今日は月末だから多分残業。嫌やなあ」
「注文の多い取引先に会わないといけない。あんなのにペコペコするなんて、憂鬱や」

これは、我々デモンストレーターの世界でも同じ。調理に手間がかかる案件だったり現場が不便な場所にあったり気難しい担当者がいる店舗に行く日は、出発前から気が重い。心の奥底にドヨーンと霧がかかっているよう。
かくして、何事もなく仕事に行ける「幸福感」よりも気乗りしない現場に行く「不平感」が優り、1日の終わりには「良かったこと」どころか「悪かったこと」になってしまう。

享楽的で、「生かされてくれるもの」への意識を普段はほとんど意識しない凡夫の我々に比べ、修道女を志した渡辺氏は、ここいらはずっと意識が高いはず。
その渡辺氏をして、1日に3つの良かったことがなかなか見つけられない、、、。
人間は、かくも「感謝を忘れた」生き物なのだ。

当たり前だと感じられる何気ないことにも感謝する。
これが出来るようになれば、ストレスを受けてもそこから逃げることなく、まして潰されることなく、ストレスをコントロールする術を得られるかも知れない。

考えてみれば、人間、無事に1日を終えるその影には、大勢の人の助けがあるのだ。
一つ一つは小さな助けなのだけども、、、。

写真は、今日の現場の店舗。
無事に仕事を終えることが出来たよ。

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