デモンストレーター業は人間観察に持ってこい

以前の記事で、デモンストレーターの仕事は日々いろいろな人に接するから、シナリオなりエッセイなり小説なり、そういうものを書く際のネタ探しには困らないと書いた。

「その通りやね」
とうなずいたのは、元歌手の同業者。プロデビュー後、さる大物演歌歌手の前座を長年つとめ、芸能界引退後は飲食店を経営したりカラオケ教室で教えたりしながら、
「次の世代にも、個人的に伝えておきたい歌がたくさんあるから」
と、折につけ、自主制作盤を出していると言う。

彼女は語る。
「日本では、歌手って、作詞家や作曲家の下の地位にみられがちなんやけど、それは違う。創る才能と、その創ったものを現す才能は、別のもんなんや。で、良い歌を良く現すためには、発声法とかの技術的なことだけではダメ。人間を見る力もいるんよ。その点、この仕事は、ホンマにエエね」。

日々、あの町この町その町に出かけ、年齢も職業も生活ぶりも教養度も異なる人々に、商品を介してではあるが触れ合うデモンストレーター業。
人間観察には持ってこい。

なお、歌を創る人と、それを現す人の両車輪がうまくまわってこそ「名歌」が生まれる構造は、実は商品販売にも通じない?
製作者がどんなにいい商品を作っても、そのいい商品をPRして人にうまく説明する人がいないと、せっかくのいい商品もオクラ入りだよねえ?

写真は、京都府立植物園内にある水車。
水車も、それだけの力では回らないよね。

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