演技

朝風呂にゆっくりつかって、いい感じ。
 蒸気の関係か。喉の調子も昨日よりよくなった。少なくとも、痛みはない。
 
 何が何でも風邪を今日中に治さないといけないぞ。木曜日から日曜日まで連続勤務。
 水曜日はオフだが(今のところ)、出町柳に引っ越した姉の宅におじゃまする予定だ。

 昨日は、一昨日に続き、コンディションは最悪。
 腹部に鈍痛があり、喉は腫れ、眼奥のリンパ線が痛む。
 風邪の初期症状ね(私の場合)。

 行きの電車の中でも
「しんどいな。あー、早く帰りたい」
 と、溜息をついていた。

 でも、いざ現場に入れば、自然とニコーッとしてしまう。
 職業病だね。

 作り笑いではあるのだが、この笑顔、実は自分のための笑顔でもある。
 頬の筋肉が緩むと心身に影響を与えるのか?
 何となく、元気が出てくる。
 
 笑顔を向けられて不愉快に感じる人間は少ない。
 作ったものであっても、ニコーッとすれば、大半の人はニコーッと返してくれる。
 嬉しくなり、ますますニコニコする。
 元気も一段と出てくる。

 気がつけば、作り笑いが本物の笑顔になっている。
 演技が、地になっている。
 危険だな、こりゃ。

 とは言え、周りも自分も不快にはなっていないんだから、ええか。

 かつて
「あなたは演技が出来ない人ね。そういうのは、ちょっと」
 と指摘した人がいた。

 鋭い!
 私は、基本的には、いまだ演技が出来ない人間だ。
 機嫌が悪い時、体調が優れない時、カッとした時、その折々の感情が気がつかないうちに表に出て
しまう。
 
 それでも、仕事上では演技をしようと努力している。
 ココロもカラダもタイフーン並みに揺れていても、笑顔を浮かべる。
 そのことを察知するだけでも、人は、まあ七割方は共鳴してくれる。

 マネキン二年めの春。京都は醍醐にある某スーパーでアミノ飲料を試飲販売している時、実母が息
を引き取ったと、連絡があった。
 早退するわけにはいかず、ポロポロ、ポロポロ、心で涙を流しながら、表面では作り笑いを浮かべ、
ワラにもすがる思いで必死で仕事をした。
 結果、その店舗における同商品売上の最高記録を達成した。

 楽しいことより反対のことの方がずっと多いのが人生。
 だからこそ、公の場では笑顔を浮かべようよ。
 作ったものでもかまわないではないか。
 皆、プライベートでは泣きたいことをいっぱいかかえつつ、一生懸命生きているんだからね。