ブログ名の「あおいくま」の意味について質問を受けた。
簡単なことだ。
あ あせるな。
お おこるな。
い いばるな。
く くさるな。
ま まけるな。
五つ合わせて「あおいくま」。
もちろん、私の独創ではない。
大阪は西成区で仕事を済ませたあと、自宅がある京都に帰るべく電車待ち
をしていた駅の看板に、書いてあったのだ。
一読し、いい言葉だと思った。
正直、私たち試食販売の仕事は、「あおいくま」に徹することが出来ない
と、とてもやっていけない性質のものだ。
少なからぬ人から
「フーテンの寅さんみたいで、うらやましいですな」
と言われ、確かに基本的には一人でする仕事なので、寅さんのテキ屋家業
同様、他の職業よりは人間関係は煩らわしくないかも知れないし、仕事現場
も刻々変わるから、寅さんの行動様式に通じるところはあろう。
反面、真冬でも冷蔵庫のような場所に長時間立って声を出し続けねばなら
ず、売上プレッシャーがかかることも多く、担当商品によっては重い調理器
具を携えて自宅から現場まで移動しなければならないことを考えると、肉体
的にも精神的にも、決して楽ではない。
年金や保険などの身分保障は原則としてないし、仕事量も一定ではない。
さらに、短時間で不特定多数の人々と大量に接する仕事の特性で、クレー
マーの被害を真っ先に被りやすい。
「似ている」とされる寅さんが天真爛漫な魅力を振りまき、イキイキしてい
るのは、映画の世界なればこそである。
「あおいくま」。
口にするのはたやすくとも、実践となると難しい。
それでも、脳天の火山が爆発しそうになったり、胸奥に潜む底なし沼に沈
みそうになったり、下腹に居座るうぬぼれ虫が増長しそうになるたび、手を
組み、一呼吸おいて、天をあおぎ
「あおいくま。あおいくま」
と、唱えるのである。