二枚舌~ショウバイも暑苦しい。

お公家さん社会の暑苦しさは、察するところ、その「二枚舌」構造にあると思う。
例えば、「最後の侯爵令嬢」で知られる評論家の酒井美意子女史は、エッセイの中でこう述べられている。
「やんごとなき階級の人間たるもの感情を表に出すことは極めてはしたないこと、とされていたため、女性なら、例えば夫に愛人が出来たとしてもまるで気にもしないように振舞わなければならなかった」。
つまり、嫉妬や憎悪などのドロドロとした本音は胸の奥深くに封じ込め、〇〇夫人なる「優雅な」建前のみで、世間という大舞台の上を踊るのね。
うわぁー、暑苦しいわぁー。
十二単やドレスの下、汗でビショビショだったんじゃないかしら。

暑苦しいから、そういう人たちは、その無理やり押し込めた本音を歌に詠んでせめてもの気持ちをなだめていたんだろうけれど、それでもラチがあかなかったら、周りの召使いたちを苛めたりしてウサを晴らしたんだろうなあ。
歴史を紐解いても、高貴な方々の中には時おり人格的にどうかと感じるキャラの持ち主がいるが、納得できる気がする。

まあ、でも、そういう「二枚舌」を巧みにこなせる人がこの世ではエライということになっているんだなあ、、、そう、いつの時代にも彼らは勝ち組よ、一般的な尺度では。

となれば、われわれショウバイの世界でも、東西古今を問わず財を築いた者はどこかクセがある理由がわかるよね。
ショウバイも暑苦しいのだ。