労働者は人間である

就職氷河期に企業から内定をもらえないまま大学を卒業し、冷凍食品工場のライン勤務と販売デモンストレーター派遣と二つのアルバイトを経て、無事にローカル食品企業の正社員営業職に中途採用された、元仕事仲間のAちゃん。
「短い間ですがお世話になりました」
との挨拶文と共に、こんな趣旨のメールを私に送ってきた。

「工場でベルトコンベアに乗って次々と運ばれて来るピザ生地を前に格闘していた時、一番感じたことは、労働者は人間であるということでした」。

詳細を明かせば、一部の人からは、
「何も考えんと、ただ生地にトッピングしていたらよいから気楽やろ」
とか、こんな心ない言葉を投げかけられたらしい。
Aちゃんによると、
「そんなものではない」
と。
「私たちはロボットではありません。人間です。泣きもするし笑いもするし怒りもする、感情を持った人間です」。

Aちゃんのメールは、
「自分も、対する相手も人間であるという、このアタリマエな事実を忘れず、これからの仕事を頑張っていきたい」
と結ばれていた。

あれから十数年。デモンストレーターの仕事を離れてからも、最初の1年くらいはメールをくれていたけれど、いつのまにか途絶えてしまった、、、と思っていたら、昨年の初め、ポンとパソコンに賀状メールが届いた(パソコンのメールアドレスは以前のまま)。
関西以外の地域に転勤となり、そこで元気でやっているそうな。

ついでに。
彼女がいっとき就いていた冷凍食品工場のライン勤務の実態は、現在ではどうなのだろう?
相変わらずなのだろうか?
働く主婦が激増し、冷凍食品の需要がますます増えている中、私たち消費者は、身体が凍りつくような労働環境のもと、黙々と冷凍ピザや冷凍フライを作ってくれている人たちへもっと思いを馳せることがあってもよい。

写真は、和歌山で仕事をした時に買い求めた和歌山ラーメン。ラーメンもまた、冷凍食品化が進んでいるアイテムだ。

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