近場の店で、電子レンジを使用するリゾットのデモ。
予想外だった。
リゾットが何か知らない高齢者のお客様が多いにもかかわらず、よく売れたのだ。
味も、あくまで一般論ではあるが、高齢者向きではない。
五十代に入ったばかりの私の味覚でも、
「濃い」
「しつこい」
と感じる。
受けたのは、どうやら、「電子レンジで一分半温めたら食べれる」という利便性
によるものらしい。
「としとったらね、すべてのことが、だんだんジャマくそうなんねん。若くて、子
どもがいた頃は、ハンバーグもミートボールもグラタンのソースも、すべて手作り。
でも、ばあちゃんになってみれば、そこまでの気力もわいてへえけん。ついレンジに
頼る」
こう言った人が、かつての同僚にいた。
そうなのだろうか。
いや、類似の科白は、彼女と同世代の女性の多くから聞いた。
限りなく真実に近いのだろう。
それにしても、電子レンジを使いこなしている人は、そう多くない。
私もその一人。
進化する電子レンジ。パソコン同様、これを制することは、次世代のステージに片
足をかけることになるのかも知れない。