さてさて。いよいよ試食販売における立替金について。
このことを話題にしてよいものかどうか、ずいぶん迷った。
私も含め、大半の試食販売従事者イコールマネキンが、仲間内では
「ほんまに、かなんなあ」
と愚痴りつつ、表向き、特に仕事をまわしてくれるエージェンシーに
対してはそういうことは露ほども出さないからである。
なぜなら、立替金の負担を口にするや
「あ、そう。そんなに大変な思いをしてまで仕事をしていただかなくて
結構。大変ではない他の人にまわします。マネキンはいくらでもいるん
ですからねえ」
と、返されるのではないかという危惧を、常に抱いているからである。
一般にあまり知られていないことだが、例えば、新商品のドレッシン
グをデモする場合、そのドレッシングはもちろん、デモメニューである
サラダなどを作る場合に必要な材料費は、当面、すべてマネキンの立て
替えである。
立替金だから、当然、返ってくる。
だが、それは、おおよそ一ヶ月後。エージェンシーの締め日の関係に
よっては、二ヶ月後になる。
日々、やりくりに追われる身にはきつい。
それでも、ドレッシングデモのためのサラダならまだいい。
焼肉のタレを担当し、そのデモ用に肉を買い取る場合は、悲惨の一言。
店や曜日、客数にもよるが、確実に一枚は福沢諭吉が立替金の名のも
と、消えてゆく。
マネキンの大半は庶民クラスの主婦。
お金に困っているから、何の特技や資格がなくてもスーパーや工場に
勤めるよりはこの仕事の方がお金になるかなと、就くケースが多い。
なのに、いざとなれば、現場の最前線をになう私たち(一番弱い立場に
いる)が、当面の負担をかぶる。
どうも納得がいかない。
立替金の話題。まだ続きます。