バッティング

 六月二十七日と二十八日は、例のごとくペットフードの推奨販売。
 二十七日はペットフード界で圧倒的な売上シェアをほこるH社の、
二十八日は犬種別フードで知られるM社の、それぞれのマネキンさん
たちと鉢合った。

 同日、同現場で、いわばライバル関係にある同業者と並んで販売活
動をすることを、バッティングという。
 このバッティング。同業種の商品を同じ日に同じ場所でデモンスト
レーションすることで、嫌が応でもお客様の注目を集める。
 そのことが相乗効果を生み、どちらの商品も売上がアップして、ひ
いては店全体の利益増につながることもあるが、その逆のケースも少
なくない。
 これは、両社のマネキンの担当する商品自体の優劣も関係あるが、
それ以上に、マネキン同士の相性に起因するところが大きい。

「お互いの商品の長所を宣伝し合って、仲良く、売場をもり立てよう
ね」
 こういうタイプならよいが、挨拶の時点でライバル意識を剥き出し
にし、足を引っぱる言動をするタイプも、なかにはいる。
 
 私はまだぶちあたったことはないけれど、仕事仲間の一人は、自分
が昼休憩に行っている間にライバル会社のマネキンに自社商品の価格
を明記したPOPを裏返しにされた(これは、以前にも書いた)。
「うちの方が高いんやから、向こうの方が有利やのに」
 確かに。
 いくら競合相手でも、こんな卑劣な行為をしてはいけない。

 また、単にウマが合わない同士だったという場合もある。
 これは……仕方ないね。
「さわらぬ神にたたりなし」
 とばかりに無視して、目の前の自分の仕事に集中した方がよい。

 バッティングは、なるべくなら避けたいところ。
 実際に現場に立つ販売員はもちろん、メーカーも店舗側も内心では
そう思っている。
 思っているのに、日時の関係や店舗本部のミスで避けられない時も
ある。
 そうなったらそうなったで、楽しみましょう!

 次回はそのノウハウを書くね。