パイ

 昨日お気に入りに登録しているブログにパイの話題が出ていたので、久々に食べたくなり、今朝
クリームチーズパイを焼いた。

 中学校二年生の時だったか。
 首都圏にある大学で国文学を学んでいた姉が、
「いい本だから読みなさい」
 と、数冊の本を送ってくれた。
 その中に少女小説の不朽の名作「赤毛のアン」があったのだ。

 アンに強く惹かれた。
 決して美人ではないし、短気で早とちりも頻繁にするなど、欠点も多いが、いつも好奇心旺盛で、
ポジティブでチャレンジ精神も高いアン。
 逆境すら、彼女は持ち前の想像力を生かし、楽しんでしまう(自分が物語の主人公になったつもり
で困難を乗り越える場面がある。物語だと想えば、ひどい状況もどこかユーモラスにとらえること
が出来るものだ)。
 読み進むうち、
「こんな女性なら、そりゃギルバートみたいな旦那さんをつかまえられるわなあ」
 と納得してしまう。

 ストーリーもさることながら、私は「赤毛のアン」の随所に登場するお菓子の数々に興味を持っ
た。
 特にパイ。岡山の農村の店には、当時そんなものは売っていなかったし、それ以前に名前を聞く
こともなかった。
 私は、さっそく、当時文通していたボストンの同い年の女の子、メアリー・ルウに
「あなたはパイを食べたことがありますか? どんなお菓子ですか? 美味しいの?」
 と質問した。
 メアリー・ルウは、丁寧にも、パイ生地の作り方とそれを使って作るアップルパイのレシピを、
料理雑誌から切り取り、送ってくれた。

 現在はパイ生地を作らなくても、パイシートを店で売っている。
 便利な世になったものだ。