よいものをほんの少し

日曜日は大阪は高槻市内の某スーパーで、ポッカレモンのデモ。
 お湯で薄めたポッカレモンにハチミツを適宜くわえてレモネードを作り、お客様に試飲して頂く。

 同社の同商品は一年前にも派遣会社Bからの依頼で平和堂八日市店で担当し、その時はよく売れた
が、今回は苦戦した。
 正月明けで消費者の買い控え傾向がすすんでいること、三連休のなか日という中途半端な日でお客
様の入りがもう一つだったこと、知名度のある商品であるがゆえに既に持っている人が多いことなど
が原因だが、今回の販売担当商品が450ml入りだったことも不利に働いた。

 だって、450mlなんてねえ!
 いくら和洋中どんな料理にも使え、お菓子やソフトドリンクやチューハイを作るのにも活躍すると
はいっても、量が多過ぎる。よほどのレモン愛好者か家族数の多い所帯でないと消費しきる前に品質
が落ちてしまう。
 売上結果を示した昨年のケースも、担当が350mlのポッカレモンなればこそ、その数字が出たのだ。

「量で売れ行きが変わるなんて」
 と驚かれるだろうか。
 現実には、よくあることで、一世帯あたりの人口が少なくなってきている昨今は、同一商品の量的
バラエティの豊富さも、メーカー側に要求されるようになってきている。

 以前、草津市内の某店にパスコの仕事で赴いた時、現場まで運んでくれたタクシーの運転手さんに
言われたことがある。
「私なんか、一人暮らしやし、この年です。もうたくさん食べられません。一定以上の品質のものを
ほんの少し、と言うのが一番エエんですワ。どうせあと二十年も生きられませんから、せめて食べ物
くらいは少々高くても美味しく頂きたいんですよ」

 時代は推移する。
 不況が長引き、庶民クラスの生活水準は落ちてきているとされる陰で、個食所帯を対象にした商品
の高品質化はむしろ進んでいる気がする。