リスクのある恋愛

岡山行きの電車の中で、家田荘子著「リスキー・ラブ」を読破した。
 黒人男性を恋人に持つ日本人女性たちを取材したルポルタージュだ。

 黒人の男の子はモテるという話は聞いたことがあるけれど、まあ、ここまでくると、何と感想を述べてよいやら。
 ミュージシャン、ダンサー、モデル、軍人その他として来日する彼ら。
 そんな彼らに群がる日本人女性。
 楽器や洋服を買ってやり、飲食代を払ってやり、里帰りの時には何十万もの小遣い(!)を渡してやり、車を貸した彼が事故をおこせば相手方への賠償金も払ってやり……。
 そんな女の子たちに対する彼らの態度には首を傾げる。
 二股どころか三股も四股もかけたり、本国に妻がいるのに隠していたり、女の子が妊娠して子どもを生んでも養育費どころか認知すら拒絶してさっさと帰国したり。
 それでも、女の子たちは
「彼を愛している」
 と語り、
「黒人でないと愛の対象にならない。黒人はかっこいいし、優しいし、マメ。日本人や白人の男とはつきあおうとも思わない」
 と続ける。
 
 はあ? どうしてこんなにこだわるのだろう?
 好きになってしまえば、人種や国籍は関係ないと思うし、日本人や白人の男性の中にも「かっこよくて、優しくて、マメ」な人はいるはずよ。

 もっとも、ここまで見返りを求めず男性を愛し続ける彼女たちの姿には、「結婚するなら三高」だと
か「年収は何々以上でないと」とか口にしてやまない同世代の女の子たちには望むべくもないパワーを感じる。人を愛するエネルギーが高いのだ。

 だからこそ、こういう女性たちを「ビッチ」と呼び、女に経済的にも精神的にも肉体的にもツケを追わせて知らんフリを決め込んでいる「ライトスキンの男の子たち」を、どうかと思うのだけれど、男と
女の仲なんて、当事者でないとわからんからねえ。

 見渡せば、リスクのある恋愛をする人は少なくなっている気がする。
 それだけ、人間関係もサラリと希薄になっているのだろう。