景品をはずむ~人間は基本的にモノを持つのが好き

 四月三十日は、イオン高の原店で、大鵬薬品チオビタドリンクのデモ。
 バックヤードに積んであった在庫も含め、完売だった。

 連休の中日ということもあり、この店にしてはお客様数が少なかったのにこのような結果
になったのは、わけがある。
 お買い上げ下さったお客様に景品をたんまりはずんだのだ。
 景品たって、何、ラップとかキティちゃんのイラストが入ったミニバッグとかフェイスタ
オルとか、その程度のものだけれど。
 景品だから、はっきり言って、質もよくない。
 それでも、これをつける数で、売上はかなり違ってくる。

 お酒についているぐい呑み
 食パンの袋に貼られているシールを集めればゲット出来る皿。
 ジュースをよりどり四本買えばもらえるストラップ。
 その商品のCMに出演しているタレントの顔をプリントしたマグネット。
 実用本意のさいばし。
 ディズニーなど、キャラクターもののイラストが描かれた雑貨。
 どれもこれも上等品ではない。センスもよくない。それなのに、大受け。景品目当て
でさして欲しくもない商品を買う人は少なくない。

 断捨離ブームで、「モノは少なく」の考え方が主流になっている昨今。それでも、やはり
間は基本的にはモノを持つのが好きな生き物だと思う。

「しばらく見なかったけれど、やっと来てくれたね」
 何人かのお客さんに言われた。
「あんたは景品をはずんでくれるさかい、あんたが来た時しか買えへんねん。他の販売の人
はケチってあまりくれへん」。

 マネキンにもいろいろいる。
 景品を出し惜しみする人も、確かにいる。
 チオビタのデモばかりではない。以前によく担当した花王のデモでも、少しずつしか出さ
ないマネキンがいた。

 自分のふところが痛むわけじゃなし、景品在庫がある限り、はずめばいいのに。
 後で景品の残数チェックがあるわけでなし、それどころか
「余った景品が場所をとって困っている」
 と嘆いている店舗が多いのだ。
「指示書に千円以上お買い上げと書いてあっても無視して、買ってくれた人全員にあげてね」
 部門責任者にこう言われたことも多い。

 それにしろ、お客さんに顔を覚えられるのは気持ちいいもんだね。

 ついでに、皆さんに教えてあげよう。
 景品に、一等、二等、三等とある場合、仮に一等が欲しいのなら、午後四時以降に買うと
当たる確立が高い。
 と言うのは、先にも書いたように景品に釣られて商品を買う方が少なくないため、囮(おと
り)に使わんと、良い景品が当たるクジは最期の段階まで取っておくマネキンが多いのだ。
 お客様数が再び多くなる夕方、
「さあ、残り少なくなりましたよ。でも、景品りの方はまだ一等が残っています」
 こんなふうに売り込むのである。

 いくら景品は景品に過ぎないとしても、エバラやミツカンなどは、卓上焼肉コンロやら
タジン鍋やら、一等にはそれなりの商品を用意している。
 ねらってみるのも手。