担当は、久方ぶりのハムソー(業界用語。ウィンナーや焼き豚、ハムなどのデモンストレーションを、我々は「ハムソー」と呼ぶ。「ハム・ソーセージ」の略)だった。
店に着いて驚いたのは、まずここの系列店では、ハムソーは牛乳や豆腐などを扱う日配部門に配されること。通常は畜産か精肉なんだけれど。
それと関連があるのか。
畜産や精肉にハムソーが属する店舗に比べ、陳列商品の種類が少ない気がする。
とは言え、そこは年末商品。品数は今ひとつでも、クォリティはさすが。
選りすぐりの商品を置いているというわけか。
店舗に指示されたロースハムや焼き豚を一口大に切り、デモンスト
レーションをスタート。
土地柄もあるのか。いつものハムソーのデモンストレーションの時のような賑わいがない。お客さんの方から寄ってこないのだ。大人ばかりではない。子どもも然り。
「ボク、どう? 美味しいよ」
とすすめても、飛びつかない。必ず、そばにいる親に許可を求める。
まあ、アレルギー対策からすれば、この方がありがたいのだが。
あまりに試食が出ないので、お客さん一人一人に手渡しし、商品説明をすることにした。
一人一人にじかに渡すと、けっこう食べて下さる。
そして、買って下さる。
試食数は多くないのに、上々の売上だった。
団体レッスンより個人レッスンの方が上達するお稽古事と同じこと
が、試食でも言えそうだ。
マンツーマン販売の成果?
店舗担当者がこちらにプレッシャーを与えなかったことも幸いした。
少なくないのよ、ハムソーでなくても、珍味やカズノコでも
「こんなん、年が明けたら売れへん。全部出してや」
と、完売を強要する人。
で、そういうのに限って、アホほど発注しているのだ。
ホンマ、
「おたく、一回、売ってみなはれ。千数百円の商品が、そうポンポン動きますかいな」
と言ってやりたいね。