生産物の価値~格安にはナニカある

つい数日前まで、格安旅行会社てるみくらぶの破産に関するニュースがマスコミを賑わせていた。
正直、一連の報道を前に、「ああ、やっぱりね」と感じていた人は多いのではないか。
旅行に限ったことではない。
住宅も家電も化粧品も、そして私たちデモンストレーターがかかわる食品も、「常識では考えられない安さ=格安」をウリとしている商品は、それが生産者から消費者に渡る過程において、必ずや「ドコカでナニカのひずみを生じて提供されている」と考えて差しつかえない。
最近では、もやし業界の訴えがいい例ね。
「安価の代表のようにとらえられているもやし。時には一袋19円か18円で店頭に並んでいる。でも、栽培する側からは、一袋せめて40円で販売して欲しい」。

と、背後の事情は理性ではわかるのだけれど、、、ねえ!
人間とは、極めてエモーショナル、かつ自分勝手な生き物だ。
実際に痛みを味わうわけではない立場にいると、どうしても言動の端々にホンネが見え隠れする。

3月に担当した、某メーカーの牛乳。
もう何年も「高品質ゆえ、お値段もそれなり。でも、デモンストレーション日だけは178円」の図式で宣伝販売を実施しており、それがお客様の間にも浸透しきっていた。
それが、2月から238円。
その牛乳のファンであっても、買う側からすれば、値上げせざるを得ない理由(牛の肥料代の高騰など)は知っているし、238円でも酪農家は薄利なんだろうなと想いつつも、
「こちらにも家計の事情がある。別に牛乳にこだわりがあるじゃなし、別のメーカーの(低価格の)牛乳でもいい。そもそも一気に60円アップはやり過ぎじゃない?」となるわなあ、、、。

当然、売上にも影響が出てくる。
影響が出てくるが、それではメーカーも店舗も困るので、販売の最先端にいる我々デモンストレーターに圧力をかけてくる。
「もっとセールストークを工夫して。高くてもこれは相応の価値があるのだとお客様に伝えて、購入につなげて」
とか何とか、(一度もデモンストレーターの体験がない)マネージメント側がエラそうに言ってくる。
「オマエ、一回店頭に立って売ってみぃ」
と返したいのは山々ながら、まあ、彼らも上からそうやってデモンストレーターにハッパをかけろと指示されているのだろうし、田舎育ちで農家や酪農家の苦労と誇りを間近に見つつ「昔の」採れ採れ野菜やら搾りたて牛乳やらを食べて飲んできた身には、「生産物の価値」の意味は感覚でよーくわかっているから、ここは一踏ん張りしようと、始まりの春ではあり、気持ちを新たにするのだ。

写真は、南千里に仕事に行った時に、写したもの。
ミモザも春の花だね。

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