時計の針は巻き戻せない

社会保険事務所に行ってきた。
正社員で勤めていた頃に掛けていた厚生年金が今年度から支給されるため、手続きをしてきたのだ。

支給額の少ないことと言ったら!
有名企業に勤めていたわけではなく、したがって給与も知れたものだったから、ある程度は予測していた。
それにしても、、、。
こんなんじゃ、老後破産だよ!

もっとも、これは、若い頃に抱いていた人生観や、それにのっとって実践してきた金銭計画の甘さゆえである。
ツケが、この年になってまわってきたと言ってよい。

大学を出て就職した会社で、会計関係の資格を複数持っていることが評価されて経理部門にまわされたのだけれど、今にして振り返れば、この時点で躓いた。

理論は得意だから資格試験では良い点をとる。
でも、肝心の計算が苦手(簿記などの試験に出題される借借対照表などでは、端数を含まない大きな単位の数字しか出ない。したがって計算力は関係なし)。
そろばんも出来ない。
実際の経理現場では全く仕事にならず、先輩たちをかき回し、迷惑をかけるだけの結果になった(本当に申し訳なく思っている)。
私自身もすごく辛かったし。

わずかの期間で退社後、小さな広告デザイン事務所に拾われるまで、アルバイトを転々。
それでも、心は勇ましかった。
チャップリンが唱えたと伝えられる「人生は、夢と希望とサムマネーがあればいい」なんて口ずさんでいたものだ。

広告デザインは、基礎がないのに加えて手先が不器用なのが災いして、人より倍もその上も「使いもの」になるのに時間がかかったが、修行に励んで投げ出さなかったからには、まあ経理よりは適性があったのだろうね。
ここで、正社員になることが出来た。

そこから先が問題。
亡母や姉が、口酸っぱく言っていた。
「もっと給料がよく、社会保障もきちんとしたところに移りなさい。でないと、後々、苦労する」。
当時は、
「仕事はお金よりやりがい」
と、心より確信していた私は耳を傾けなかった。
ああ、でも、亡母や姉のコトバは真実をついていたね。

時計の針は巻き戻せない。
「なるようにしかならない」と開き直る力もなく、現時点での自分の能力と可能性を冷静にとらえ、対処するしかない。

写真は社会保険事務所近くでとった、春の鴨川の模様。

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