生活者の視点とアイデンティティがあって「雑学」は生きる

三連勤後の一昨日は、ウォーキングを楽しんだ後ゆっくりとホームスパを楽しみ、早い目に就寝。おかげで、連勤の最終日に気になっていた軽い浮腫は消えた。
やっぱり「冷え」はよくないのだね。今時分から防寒下着と防寒タイツを身につけていても、店というところは基本的には寒いもので、そんな中に長時間いること自体が不自然な行為なのだ。

さて、前々々回と前々回の記事の続き(2日間、ブログを休んだからね)。
かいつまめば、「デモンストレーターにとって欠かせない雑学力を高める方法はたくさんあるが、本を読むにしろネットで情報を集めるにしろ方々に出かけて見聞を広めるにしろ、肝心要(かんじんかなめ)のもの=生活者としての視点とアイデンティティを忘れては、せっかく得た雑学も役に立たない」と書いた。
つまり、雑学が卓上のもので終わってしまうわけ。
具体的な例を示そう。

かつて、メーカー営業のお姉さんと組んで某社のトマトピューレを宣伝販売したことがあった。
と言っても、試食品を作ってお客様に提供するのは私で、お姉さんはそのかたわらで商品をPRするわけ。
このセールストークと言うのが、、、お姉さんには悪いけれど、ちょっと笑えるんだな。
「このほど発売されました弊社のトマトピューレは、他社のトマトピューレに比べ、抗酸化作用のあるリコピンの量が何たらかんたら。リコピンとは、生活習慣病予防に効果が期待出来まして、、、」
と、こんな内容ばかり。
だから、お姉さんが熱心になればなるほど、スーツにパンプス姿ではあり、
「この人、アタマではトマトピューレをわかっていても、実際にそれを使って何か作ったことはないな」
と、お客様に感じさせてしまう。
雑学が空回りしているわけだ。

他の商品でも似たようなケースはあったよ。
多分に健康食品よりの鰹節を某メーカーが開発し、それをご飯にかけてお客様に風味をみていただいたのだが、デモの様子を見にきたメーカー営業のお兄さんは、通常の鰹節より必須アミノ酸の量がどうのこうのと、栄養学的な話をお客様に繰り返し、お客様が目をパチパチさせていたっけ。

そりゃ、リコピン必須アミノ酸も大事だよ。
でも、例え健康食品ではあっても一応は食べ物である以上、我々がそれを味わう時に自分の好みに合うか合わないか、まずどこから判断する?
舌(味)であり、鼻(香り)であり、目(色や形)ではなくて?
アタマじゃない、感覚で、これは受け容れられるかどうかをフィルターにかけるのだ。
リコピンなり必須アミノ酸なりは、その次。
ここいらのところがわかるかわからないかに、その人の「生活者」ぶりがあらわれてしまうのねえ、、、。

実は、デモンストレーターの中にも、この「アタマでっかち」タイプはけっこういる。
お姉さんがデモンストレーターをしている親友は、いつぞや私に話したことがある。
「少し言葉をかわせば、私たち主婦にはわかるよ、、、マニュアルを覚えているだけで実際には料理をしないデモンストレーターってのは」。

生活感がないことは、それはそれで悪くはないし、むしろその方がよい販売業もある(宝石販売など)。
が、こと食品販売に関する限り、絶対にダメ。

生活者としての視点と意識(アイデンティティ)。これを大切にしたい。
この二点がハシラになってこそ、雑学は机を離れ、現実世界で「実のもの」となる。